「ざッと~わずゥ、オンリー3マンス……ァGO!」
世界のサーファーたちが最も恋焦がれるという聖地ハワイの・バンザイパイプライン。海の上に突如立ちはだかる大壁さながらのBIG WAVE。その筒の中を縫うように進み、波とオーディエンスを完全に支配している小太りの東洋人の姿。ヘタッピなカンサイイントネーションのイングリッシュで、マイクを使ってビーチのオーディエンスに投げかけるのは、3ヶ月前に最愛のKITTYとともにサーフィン芸人のパイオニアに我はならんと誓っていた寝具流別奴出夢男、まさにその人であった。
“hahaha”
“Woo-hoo!!”
“Seriously?”
“Are you a relative of Mark Hunt?”
渚では確かにあの日、二人で誓った夢を混ぜ合わせたような景色があった。それは水飛沫に光を反射させながら、キラメキ輝いていた。
オーディエンスたちの爆笑で会場が温まったのを波間越しに確認すると彼は、中腰からボードの上にすっくと立ちあがり、そのままコバルトブルーの世界と一つにならんとダイブする。そう、彼が心から最も叫びたい言葉とともに。
「栞ィ、愛・ラヴ・U!!!」
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眞山大知 投稿者 | 2024-05-24 12:38
主人公の健気に頑張る姿が純粋に応援したくなりました
諏訪靖彦 投稿者 | 2024-05-25 10:47
いつもと作風が違って、これ本当に春風亭どれみさん?ってなりました。こんな話も掛けるんですね。「喜連瓜ワレェ」、どうでもいいことですが昔親父の仕事の関係で喜連瓜破に2年間住んでました。
大猫 投稿者 | 2024-05-25 15:55
「Yはずっとそう誓ってキタ堺」とか「うなぎ上り肝吸い付き」とかに心を奪われて、つい軽く読んでしまいましたが、これは夢男と栞ちゃんの苦労物語なんですね。時代が時代なら『浪速恋しぐれ』みたいな演歌になりそうなお話です。最後、結局売れなくてお笑いを諦めるのかと想像していたらまさかのサクセスストーリー。良かった良かった。読後感も良く、どれみさんの新境地ではないでしょうか。
「寝具流別奴出夢男」にルビがふってないけどなんて読むんですか? シングルベッドでゆめおとこ?
曾根崎十三 投稿者 | 2024-05-25 22:39
「キタ堺」でまず度肝を抜かれました。先制攻撃すごい。全体的になんて胡散臭い大阪弁なんだ! でもそれが良い。全編で徹底できているのが異常というか才能を感じました。大阪で働いてても書ける気がしない。
というか、改ページ機能なんてあったんですね。破滅派の使いこなしぶりえぐいて、ってなりました。
今野和人 投稿者 | 2024-05-26 10:21
タイトルにあるもののベルマークに意表をつかれました。完全にベルマークというものがこの世にあることを脳内から消していたのだと思います。
深山 投稿者 | 2024-05-26 23:47
「愛しのKITTYこと栞」「もう一度、Yは波に乗ったる。そう、MY LOVE IS FOREVER」「鼻っ柱を人差し指で擦って」等々、一昔前のメロドラマ的な(よくわかりませんが)ベタベタな描写がいちいち良かったです。胡散臭いのに憎めない。こういうの書けたら楽しそう。
YouTube見て「これや!」ってなるの完全に失敗のフラグかと思ったらハッピーエンドでしたね。
ベルマークって出てくるだけでこんなにもほっこり実家感が出るのかと発見でした。
お笑い論というより、職場でも世界一そそっかしいナースの異名を欲しいままにしている栞ちゃんと主人公のドタバタラブコメとしてもっと読みたいです。
河野沢雉 投稿者 | 2024-05-27 17:02
浪花節ですねえ。
そしてハッピーエンド。
「世界一そそっかしいナース」とか意表を突いた小道具のベルマークとか、いちいち「少し古めの物」で装飾されてるのが眞山さんの作品と共通しててハマりました。
退会したユーザー ゲスト | 2024-05-27 18:20
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Juan.B 編集者 | 2024-05-27 20:19
破滅しない作風にほっとする。ベルマーク、懐かしい。それにしても言葉の流れが美しい。
小林TKG 投稿者 | 2024-07-22 02:09
渋い話だ。ションテンが高くて、読んでて楽しいって言うのはあるけど、でも渋い話だと思いました。コテコテだけど、でも渋い話だと私は感じました。東京ディズニーランドと同い年の四畳半のアパートとか。渋い。ついついディズニーランドをデゼニーランドって読んでしまいました。