「ペットさん」

消雲堂

小説

676文字

ある日のこと、近所の道を歩いている時に奇妙な声が聞こえて足を止めた。
声は2人のようで、今まで聞いたことのない甲高い金属音のような声と、もうひとつは野太い霧笛のような声だった。

初めはその声が何を言っているのかはっきりとは聴き取れなかった。しかし、そのうちに会話の内容がわかるようになってきた。

「あんた、人間に飼われて恥ずかしくないの?」金属音が言った。
「何を言ってやがる、俺は飼い主をいつか食い殺そうと思って大人しくしているだけだ」霧笛が答えた。

(飼い主を食い殺す? 物騒な話をしてやがる、一体何者だ?)と声がする方を見ると、一匹の大きな黒い犬が近くの桜の木の枝に止まっている一羽の雀を見上げている。
声の主はこの犬と雀らしい。霧笛のような声は犬で、金属音が雀だ。

(雀と犬が話してるのか?俺は夢を観ているんじゃないか?)

「食い殺すって? そんなことして見つかったら、あんたは人間たちに寄ってたかって殺されちゃうよ」
「大丈夫、家族が寝静まったのを見計らって、四人とも食っちゃうから誰にもばれやしないさ」
「なるほど、死体が見つからなきゃいいってわけか」
「流れ出た奴らの血も全部すすり尽くしてやるぜ」
「骨は?」
「噛み砕いて庭にでも埋めておくよ」
「なるほどね、でも、あいつらがいなくなったら、あんたどうすんの? 野良犬になったら捕まって殺されちゃうよ」
「飯の心配しなくちゃならないからね。だから、あいつらを殺さないだけさ」
「なるほど・・・」
「あいつらはオレの飯のタネさ、オレは飼われているんじゃなくて、あいつらを飼っているのさ」

2014年6月10日公開

© 2014 消雲堂

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