日の塵(第2話)

消雲堂

小説

860文字

S0555448o
1.

早朝、かみさんがごみ捨てに行ってしばらく帰ってこなかったので心配になって見に行ったら階段の踊り場で、まだ生きてピイピイ鳴いている雀の雛を見ていた。昨日より元気がなさそうだが、嘘をついていたのがばれてしまった。

2.

雛は、また僕たち夫婦の部屋の傍にやって来て鳴いている。見れば、かなり衰弱している。羽が短いから飛べないのだろう。多分、生まれつきのものだ。それにしてもなぜ、また近くまでやってきたのか? 僕は冷たい人間だから水をあげただけだ。これから出かけるから、雛はその間に死んでしまうだろう。カラスに食われることがなければ、丁寧に葬ってやろうと思う。

3.

雀の雛はカラスにやられてしまったようだ。
帰ってみるとアパートの廊下あたりから数羽の雀が飛びたった。
その中に雛がいることを期待したが・・・。
朝、雛がいた場所には、ちぎり取られたような雀の羽がたくさん落ちていた。
出かける際にピイピイ鳴いていた姿を見たのが最後になった。

かみさんの僕に対する冷たい視線が怖い。
「だから保護してあげればよかったのに・・・」という視線なのだ。

4.

朝、目の前の藪にカラスが10羽くらいやって来て大騒ぎしていた。見れば、尾長が数羽カラスたちに体当たりしている。傍の電信柱には野鳩や雀も止まっている。藪の中には尾長のほかに野鳩や雀の巣があるのだ。この間まではヒヨドリの巣もあった。昨日の雀の雛で・・・言葉は悪いが味をしめたのだろうか?

今日はごみ収集の日ではないから、毒ばかりなくせに美味い人間の残飯を食らうことができないので、小さな卵や雛で腹を満たそうというのだろうか?

ベランダで彼らをいまいましく見ていると僕の後頭部あたりで「ブーーーーン」という羽音がした。振り返ると本当に間近に大きなスズメバチが空中浮遊していた。彼と目が合って後悔した。黒いポロシャツを着ていたからだ。黒いものを本能的に攻撃する彼らもカラス同様に野蛮で残酷な生き物だ。

しばらく睨み合って・・・昆虫界のカラスは堂々と何処かに去っていった。

2014年6月10日公開

作品集『日の塵』第2話 (全3話)

© 2014 消雲堂

読み終えたらレビューしてください

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


この作品にはまだレビューがありません。ぜひレビューを残してください。

破滅チャートとは

この機能は廃止予定です。

タグ

この投稿にはまだ誰もタグをつけていません。ぜひ最初のタグをつけてください!

タグをつける

タグ付け機能は会員限定です。ログインまたは新規登録をしてください。

作者がつけたタグ

---

"雀"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る