汁なし野郎

白城マヒロ

小説

2,398文字

イグBFC2投稿作品です。「汁なし野郎」という名前にまつわる破滅的な内容なので是非お楽しみください。

なるべく早く女性との行為で射精できるか確認する必要があった。フェラでも挿入でもいいから、とにかく確認が必要。二十五歳のわたしは勃起不全ではないし、オナニーで射精することもできる。ただ女性との行為で射精できるかだけが問題になり、はじめて風俗に行くことにした。午前中に業務の合間を縫ってスマートフォンで近場の情報を調べ、昼休憩時間の一時間を利用して、昼食もとらずスーツのまま小走りでピンクサロン『ブルースカイハイ』へ向かう。狭い階段を塞ぐように一人の男が立っており、「ご利用ですか。こちらへ」と導かれる。上がった先の店の入口の前で、複数の女性の顔が印刷されたパネルから誰かを選択するように言われ、わたしはすぐに「一番うまい人を」と答えた。ほとんど照明のない暗い店内に通されると、座席に座って待つように言われる。店内にはわたし以外の客はいないようであるのが静けさでわかった。自分の足下さえ見えないほどだが、それぞれの座席の頭上にピンクや青の仄明かりが灯っている。おかげで遠くの様子はわからないものの、近くなら上半身あたりは見えるようになっていた。しばらくすると金髪のショートカット、ネグリジェのような服からブラジャーをつけていない生のままの豊満な胸が覗く小柄で可愛らしい女の子が隣にやってきた。いまからこの女の子が自分に行うであろう行為を考えると、すでにペニスは勃起していた。
「こんにちはー、よろしくお願いします」彼女が丁寧に挨拶をするため、わたしも「すみません、本日はどうぞお願いいたします」と頭を下げた。「アンナですー。お兄さん、いまはお仕事の休憩とかですか?」女の子は消毒液を自分の手のひらに数プッシュだし、それをわたしの指や手に絡めながら訊ねた。「ええ、なので手早くお願いしたいのですが」彼女は了承し、一枚しか着ていない服を脱いで弾力のありそうな胸と上向きにつんとした乳首を露わにし、パンティーのみの格好になったままわたしのズボン越しに股間を触った。「お兄さんもわたしの身体、好きにしてください」そう言って彼女はわたしに、まずは軽く、それから徐々に唾液の音をたてつつキスをしながら、ベルト、ズボンのチャックと外していった。わたしはされるがまま舌を絡め、張りのある胸や滑らかな鎖骨、細い腕などを好きに触った。彼女がわたしのボクサーパンツを脱がせたときには、ペニスははち切れんばかりに膨張し先端からは汁が滴っていた。わたしは、これはいけると思った。彼女が再度消毒液を手につけて両手で優しくわたしのペニスや玉袋を触っているあいだ、わたしは自分が「汁なし野郎」と恋人から呼ばれることになった経緯を思いだしていた。だが、それはいま関係のない話だ。わたしは射精を確信しつつあった。そのはずなのに、彼女がいくら手で擦っても射精感は高まらない。
「本気だしちゃいますね」彼女はわたしを座席に横たえさせ、自分は床に膝をついてペニスをしゃぶりはじめた。ちろちろと筋を舐めることから始まり、片手では睾丸を刺激しながらもう一方の手ではペニスを、口では先端をジュポジュポといういやらしい音をたてながらすごい早さで顔を上下させ刺激を与えてくる。わたしは乱れた顔を眺めながら、すごく面白いものを見たように思った。女が一心不乱に頭を振りながらわたしのペニスを舐めている。これはとても面白い。そう思うともうダメだった。わたしのペニスは彼女の口の中で徐々に萎みはじめた。彼女は手や口、あらゆる趣向をつくして勃起させようとしたが、わたしは首を振った。
「ごめんなさい、わたしじゃダメだったみたいで。ほんとにすいません」彼女は立ちあがりパンティー姿のまま謝った。「仕方ないことです。大丈夫ですよ」わたしは言った。「そもそもわたしが生の女性で射精するなんて無理な話だったんです。もちろんひとりで射精することはできます。しかしそれが二人で行う行為となると……。わたしが生まれて初めて目にしたポルノは幼稚園生のころに読んだワンピースのエロ漫画でした。ナミという女海賊が、アーロンという魚人のオスや下っ端のタコ達にめちゃくちゃにレイプされる漫画です。それを親が使っているPCの履歴で見つけてしまって以降、わたしは親の目を盗んでは漫画の続きやその他のエロ漫画を読みあさりました。オナニーというものを覚えてからは、朝の四時には起きてPCを起動し、せっせとペニスをしごいたものです。大学生でひとり暮らしが始まってからはほぼ日課のようなものでした。毎日二次元のポルノばかり、それも女が人間の尊厳を奪われたようにレイプされる話やセックスの快楽に溺れて退廃していく作品、彼女を寝取られる漫画を読んではペニスをしごいたものです。これではいけないと思い、三次元のポルノでも射精できるようになりました。ペニスというものは、しごけば射精するようでした。しかし、生の女性に射精させてもらうのはまだ早かったようです……」わたしはそう言った。「次はイかせてみせますよ、元気を出してください」彼女は言った。

帰り際に、彼女は彼女の名刺にボールペンで「頑張って☆オタクのお兄さんへ」と書いて渡してくれた。ふざけた野郎だ。わたしはズボンをおろし彼女の頭を掴んで跪かせるようにしてから再び怒張したペニスを口に突っ込み、彼女の口に腰を打ちつけた。彼女の喉の奥に思うままペニスを突き差した。わたしは射精した。それから地面に倒れこんだ彼女に向かって、もう一度ペニスをしごいて射精をした。わたしは恋人の膣内で射精することができなかったため、イラマチオを強要し、無理矢理頭を掴んでオナホールのように顔面を使うことによってやっと射精した。それは二人での愛の営みとは言えないと恋人は涙と精液を垂らしながら口にしたが、はじめからこうすればよかったのだ。血も涙もない「汁なし野郎」とは俺のことなのだ。

2021年10月7日公開

© 2021 白城マヒロ

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ユーモア 純文学

"汁なし野郎"へのコメント 1

  • 投稿者 | 2021-10-09 21:31

    いきなりワンピースの話題が出てくる場面が面白かったです❗️

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