第71回野間文芸賞(財団法人野間文化財団主催)の受賞作発表が5日午後に行われ、橋本治(70)の「草薙の剣」(新潮社刊)が受賞作となった。また、第40回野間文芸新人賞は金子薫(28)の「双子は驢馬に跨がって」(河出書房新社刊)、乗代雄介(32)の「本物の読書家」(講談社刊)が同時に受賞した。第56回野間児童文芸賞は安東みきえ(65)の「満月の娘たち」(講談社刊)が受賞した。

野間文芸賞受賞作となった「草薙の剣」は、12歳から62歳までの、10歳ずつ歳が異なるが名前に「生」が付く事が共通点の6名の男性を主人公に、敗戦後から現代までの日本の発展と変容を描写した長編小説である。野間文芸賞の選考委員である高橋源一郎は発表後の講評で「今年は非常にレベルが高かった。満足のいく候補作ばかりだった。」と語った。賞の贈呈は12月に行われる。

野間文芸賞は講談社初代社長の野間清治の遺志により1941年より開始された純文学賞であり、受賞者には正賞として賞牌、副賞として300万円が授与される。また関連として、野間児童文芸賞が1963年から、野間文芸新人賞が1979年から開始されており、これらを合わせて野間三賞と呼ばれる。