2017年9月20日から26日までの1週間、三省堂書店神保町本店は湖池屋「カラムー超 濃厚ビーフ煮込みXO醤仕立て」「すっぱムー超 トリュフ香る帆立のカルパッチョ」の2品を限定先行販売する。これは湖池屋の定番スナック菓子である「カラムーチョ」「すっぱムーチョ」のプレミアム版で、三省堂販売分については岸博幸による推薦帯つきの限定仕様となる。1日50個のみの販売なので、湖池屋マニアであればぜひゲットしたい。

「カラムーチョ」「すっぱムーチョ」といえば、日本を代表するポテトスナック菓子だ。前者は1984年、後者は1993年に湖池屋から発売され、いずれも2017年現在までファンの絶えないロングセラー商品となっている。今でこそ辛味や酸味を強調したスナックは他社からも販売されているが、当時は前例がなく、かなり冒険的な商品だった。また、どちらも毎年のように限定フレーバーを販売しており、ファンを飽きさせない工夫を凝らしつづけているのも特徴だ。

今回新発売される「カラムー超」と「すっぱムー超」は、そのプレミアム版という位置づけになる。湖池屋は今年2月にも素材と製法にこだわった高価格帯のポテトチップス「KOIKEYA PRIDE POTATO」を発売しており、一時品切れになるほどの好評を博したことは記憶に新しい。その流れを汲んだ新商品だと捉えれば理解しやすいだろう。数年来のクラフトビールブームやグルメバーガーブームに代表されるように、昨今の飲食業界では差別化とプレミアム感が重視される傾向にあるが、湖池屋も見事その波を乗りこなした格好といえよう。

もっとも、そうした背景を踏まえてもなお、今回なぜ三省堂書店とコラボレーションしようとしたのかはよくわからない。知識人のお墨付きだというインパクトを欲したにせよ、岸博幸という人選もなかなか絶妙に謎めいている。好意的に捉えれば、そうした不可解さも含めて、カルビーの一強であるポテトチップス市場において湖池屋だけが健闘できている理由といえるのかもしれない。

かくいう筆者も、湖池屋のこうした微妙にズレた感覚は大好きだ。友人知人であればご存知のように、筆者はカプサイシンを五大栄養素に数え二言目には「スコヴィル値」と口走るほどの激辛フード好きだが、なかでもカラムーチョには幼少期からずっと心酔してきた。ここ20年のあいだに販売されたカラムーチョのバリエーションは、地域限定商品以外すべて食べてきているはずだ。もちろん今回の「ムー超」もチェックは不可欠である。スケジュールさえ許すのであれば、どうにか三省堂神保町本店の開店前に並んでみたい。

なお、岸博幸の帯つきのものは同書店でしか購入できないが、スナックそのものは9月25日より全国コンビニで購入することが可能だ。味にしか興味のない人はあと数日待てばよいので、慌てる必要はないことを付け加えておく。