角田光代による新現代語訳の紫式部『源氏物語』(河出書房新社)が、2月1日出来の重版をもってシリーズ累計20万部を超える。

 今年からのNHK大河ドラマ『光る君へ』の放映スタートでさらに注目が集まっているようだ。

 紫式部によって約1000年前に書かれた『源氏物語』は、世界最古の長篇小説とも言われている。「桐壺(きりつぼ)」から「夢浮橋(ゆめのうきはし)」まで五十四帖で成り立ち、輝く皇子として生まれた光源氏が、女たちとさまざまな恋愛を繰り広げる華麗な物語であると同時に、そこには生と死、無常観など人生や社会の深淵が描かれている。また、約800首もの和歌に加えて、漢詩、漢文など、文学、宗教、歴史が盛り込まれた壮大かつ重層的な作品でもある。

 与謝野晶子・谷崎潤一郎・瀬戸内寂聴などの文豪たちが手掛けてきた現代語訳を、2020年に角田が5年の歳月をかけて完成させた。角田訳は、何より小説としての面白さが堪能できる最新の現代語訳であり、『第72回読売文学賞(研究・翻訳賞)』を受賞している。

 1月7日からスタートした『光る君へ』は、紫式部の生涯を中心に、藤原道長との知られざる恋、平安時代の色鮮やかな世界、歴史上の人物たちの数奇な運命や恋の和歌などが豪華キャストによって描かれる。2023年10月に刊行を開始した河出文庫古典新訳コレクション『源氏物語』(全8巻、2024年10月完結予定)もドラマの盛り上がりとともに注目を集め、2024年2月1日出来の重版をもって累計20万部を超える。

 なお、1月から河出書房新社と東洋経済オンラインとのコラボレーション企画として、角田光代 新訳『源氏物語』の無料ためし読み連載(毎週日曜日14時配信)をスタート。1月には第一帖「桐壺」が全文掲載、2月からは人気帖「夕顔」の配信がはじまる。

 破滅派同人の大猫も参加しているミクシィ内の古典サークル「源氏物語を味わう」も、これらのブームをより楽しむ上で最適ではないか。興味のある人はチェックしてほしい。