お題は「平成」。八王子の山中で32人が集団遭難だと?

平成八王子事変*ストラタジャム2018*戦略レポート(第1話)

波野發作

ルポ

3,189文字

また、出るのか。懲りないねと送り出されて向かった先は八王子。小高い丘の上にある謎の施設群。そこに集いしは32人の「どへんじん」たちだった。まずはチーム編成の話。

今回はデザイナーだし、NovelJamのレポートはもう書かないと思っていたのだが、とりあえず伝えないとならないことが山ほどあって、とてもじゃないが抱えきれないので、小出しにしてしまおうかと思う。

 

前回レポートは完全に時系列でお送りしたのだが、今回は同時進行でいろいろな事が起こりすぎていて、まったく整理がつかない。

なので、思いつくままに、レイヤーで分けてお伝えしようということにした。

ただ、個人個人について何か言及することはなるべくしないので、全体を俯瞰した上で、見かけたこと、起こったこと、仕掛けたことを話そうと思うのだ。

 

前回なくて、今回ある要素として最大なのは、「チームビルディング」だろうと思う。

昨年は運営が組み合わせを考えて、編集には事前に伝えた上で、組み合わせを行った。ある意味最低限なにかしらの配慮がされていたわけだ。

結果として大混乱は起こらなかったが、「ジャム感が足りない」という感想はよく聞かれたようだ。

その改良型ということで、今回は当日チームを編成し、その上で新たな人間関係を構築して執筆するという、まさにコミュ障殺しとも言える悪魔のシステムが導入されたわけだ。

しかも編集はプレゼンをして投票を受け公開し、さらにジャンケンとくじ引きで決めるという、誰得仕様。

なんだ。編集を殺したいのか運営は。そうだろう。編集は殺されてナンボだ。今年は編集じゃなくてよかった!

 

プレゼンのトップバッターはチームA・小野寺ひかりさん。

通称小野寺ちゃんは、昨年作家で出場した経験者だ。受賞こそなかったが、その後の売り上げでがんばりつづけていると聞いた。

今年はリベンジか。気迫が伝わってくる。

昨年の作品プレゼンでは数少ないスライド準備派だったが、あれは小野寺ちゃんが用意したものだったのか。

なかなか周到で期待が持てる。

 

チームBはおそらく最年長の「のじー」こと野崎勝弘さん。

元エンジニアで、今は技術系のライターや編集などをしている。

そして地下アイドルヲタクだといきなりのカミングアウト!

何だこの人! 面白いぞ!

要チェックだ。というかTwitterで見かけてから組んでみたいと思っていた。

好きな小説の趣味も合うな。

 

チームCは米田淳一。いつもの仲間の一人である。

昨年は彼と組んで、米光一成賞狙い撃ちに成功した。誇るべき我が盟友である。

編集経験こそ少ないが(皆無ではない)、作家生活20年のベテランだ。

物語のコンストラクションには一日の長があると思われた。

しかし、まさかの機械トラブル。用意してきたプレゼン資料はまったく内容がわからないまま、時間終了。

もったいないことになった。

 

チームDはハギヨシさん。出版系某社のメジャー編集者系である。

先日、日本独立作家同盟のセミナーで会った人だ。

今はビジュアル系の仕事が多いらしい。

メジャーを知るというのは強みになるだろうな、と思った。

 

チームEは和良くん。昨年の作家出場者だ。澁野くんと組んだのだが、残念ながら成果は得られなかった。

おそらくな相当なリベンジの決意でここに来ていることだろう。

気迫を感じる。

彼とは横浜FCのサポーターとして魂が繋がっているところもある。

共に戦うという選択肢は、ありだ。

 

チームFはタニケイさん。

電書系実用書のベテラン編集者だ。昨年のぼくと近い立ち位置のように思う。

お作りになった本を紹介してくれたが、センスの良い書影が並ぶ。

エレガントな戦いがしたいなら彼女と組むのもいいだろう。

しかし、競争率高そうだなー。女性陣の反応がすごい。

 

チームGはふじいそうさん。

某I/T雑誌の編集長という大物だ。なんで来てるんですか?

文芸とは畑が違うが、ここも人気が集まりそうだ。

 

チームHの編集は、澁野義一くん。

唯一の「2年連続編集参加者」だ。彼もまたリベンジャーだ。

そして某大手文芸系出版社の所属ということで会場がざわつく。

どうやら彼が一番人気のようだ。

 

さて、経験者、現役、未経験など、それぞれに特色のある編集者が8人。

誰を選ぶか。ということももちろんあるが、書くのは作家だ。

どの作家が誰と組むのか、それを読み切る必要がある。

ぼくはエンジョイ勢ではないので、とにかく熱く戦えるメンバーと組みたい。

そして両手に成果を持ち帰りたい。絶対だ。

大変申し訳無いが、チームビルディングでは心を鬼にして、自らが最も有利になる立ち位置を勝ち取らなければならない。

 

作家とデザイナーは、編集者が書かれた紙にマルをつけて提出することになっている。

白紙で提出してもよい。その場合は運に天を任せることになる。

冗談ではない。自らの意志と関わりのないところで勝敗が決められてたまるか。

ぼくは、ぼくの選択で勝ちたいし、負けるならぼくの選択に依りたいのだ。

 

まず、今回の参加者の中でどの作家と組みたいか、であるが、それはもちろん高橋文樹である。

作家経験があるということもあるが、GitHubを使うと公言していたり、いろいろ面白いことになりそうだからだ。

他の参加者は調べた範囲ではそれぞれに面白い特長があるので、そこはもう運と縁でいいかなと思う。

当日までまったくわからなかった参加者もいるが、それはまたそれで。

ということで、ぼくはまず、高橋文樹氏が誰を選ぶかを読み取ることになった。

 

GitHubを使うということは、編集者とGitでやり取りをして完成させるという意味に違いない。

場合によってはチーム全体で活用して総合力を高めるという企みなのではないか?

いずれにしてもそれに対応できそうな編集者でなければならないだろう。

 

プロフィールに、その可能性が示唆されていた人物は多くない。

元エンジニアという野崎氏。

IT雑誌の編集長ふじい氏

のどちらかということになる。

米田氏もITは得意だが、高橋選手はよく知らない可能性が高いし、プレゼンで失敗しているのでおそらく投票はないだろう。

野崎氏かふじい氏か。

どっちだ!

 

ようし、と思って高橋選手の手元をカンニングしようと思ったが、全然見えなかった。

 

投票の時間が来た。

テーブルの上にBの札があった。

ああ、そういうことか。

ぼくは野崎さんに投票して提出した。

 

 

結果ぼくは野崎さんのBチームに入れてもらえることになった。

他に野崎さんに投票した人はいなかったから即座に確定となった。

 

最初の投票で決まった組み合わせは2、3しかなかった。

ここで同じ人に投票した同士でじゃんけんが行われる。

じゃんけん勝者までは自分の望んだ編集者と組める。

 

あとはくじ引きで決められてしまう。

過酷だ。ぼくは望んだ相手と組めてよかった。

高橋選手は澁野くんを指名してじゃんけんに勝ったようだ。

そっちかーいw GitHubにこだわった俺の読み違いだった。まあ仕方がない。

 

そして作家2名も決まった。

1人は昨年も参加したふくだりょうこさん。「低体温症ガール」の人だ。よく覚えている。

この子も賞を逃しているので、リベンジなハートが強いのだろう。おとなしそうな感じなのに芯がある。

もう1人は天王丸景虎。SS合評で出会ってから数年交流のある期待の若者である。

君は昨年出てないけど、そもそも筆で社会全体にリベンジしたいよな。やっちまおうぜ。

 

ふむ。

これは楽しいNovelJamになりそうだ。

 

つづく

2018年2月16日公開

作品集『平成八王子事変*ストラタジャム2018*戦略レポート』第1話 (全9話)

© 2018 波野發作

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