あたり一面に散らされた光と闇をまだ近くも遠くもない ぼんやりとした、地平線上から。すこしのこしただけの砂浜の夢を 寝ぼけ眼のむすめが抱いていた、
(はきもどした。)
易いばかりを過去をぶちまけた海でも掬う。気だるいだけのサヨナラを繰り返し、昔ながらの夢を織った、てのひらにかえして。這い蹲り、むすこを背負っていた、かわいた陸でも浚う、なんでもいい。
(足なんぞいらんわ 腕も瞳も囚われるだけ、だからな)
疎の笹の先で大きな傷を負う
蛍
「翅蟲である
」「我腸とする
」「だれだ、」
(キミらはそこにいる!)
海を
一望
して
(エートスのうわさを!)
「なんだ、かぜのねいろだ。」
前をむいても後ろをむいても 古く新しくとおくとおくまで続いていくほかに、なにも、みあたらない。圖の慶弔を黄昏に敷き詰めた奔りが大きな橋渡らずに、個々にある。心像の一部を詰めている。螺鈿のカラクリが多分勝手に流れ出たものだから、参っている。
暫く銀の椛の 造の端々を炙る、ばかりの女の計り、
には、坐、してバラく。一の指を薬煉て、
虚と名をつけて踊らせている。傀儡のようでいて
永久に操りきれない道化師のようなものだ。
『あなたが、わたしが、それぞれ/どうでもいいけど、どうおもったか』
指を指し 〆した。
いやもう 首を振る。
いや 手を降るか、
あ、首を掻くか!
些か ちょうど 暫くの。ときにそうだな。風が震える、戯言でもいい あたりにはくらがり、畏れりゃ、謳え! 諦めにもそこはかとなく、風遊し 幸 舞い散って、熱で解けて魅せた。
もう朝日か
もう何度目かの
【ひらきに見た 遠景の奇説は、ただではしれない】
たとえ。希望とか砂浜に描いて魅せ微笑っているか、嘲笑っているか。どうでもどうしても触れたくないから目を覚まし 逸らした。形熾したものは耀けるから 撓んだ薄布であったり溢れた花々だったりした。
(はたき落とした小舟が転覆するのを待っている。)
(殺されたのは? 醜類だと信じなさい。)
足元を覗いていたので、それだけが目に入る。ので、覚えのないところだったから なんて 暗示したらいいのかこれを、『傷口』――と。なめて。
対岸につくりものの日を立てる。沈む境界を色鮮やかに装飾された、せまきみちに埋もれゆく粗は、こればかりを繰り返して。不思議と裂けて大地を蹴る。ゐは波を何錠も絡めたもので軟く眩しく、静かな月の、終わりの秋風が深まる、
安易に縫い合わせてこの舞台に置き去ってしまいたかった生きた痕跡、
目にしたもの。勝手に歩きだし自分の意思さえ超えたところに。
自分を据え付けられたら良かったのにね。所詮影だったよ、あんなウソ、真実じゃないし背伸びして焚き付けた篝火が消えそうでも、もう届かないところに祭り上げられたものだから、もうじゅうぶんだったんじゃないかな。
そろそろ、夜が沈降した。泡沫を欠いたひとり居る。
(お暇することを考えます。)
仰ぎ見た真蓋の風景、それは。
「あのね、急ぎ足、すこしの――」
破断したあとに、意味を置き攣ツる、卦の妄信をそこはかとなく尊ぶ。
どうやってここまできたのかと考えることも出来ずに、夢見心地というか心ここにあらずというか、かたわらに居るわけでもない、置かれていっただけといった酷いありさま。
(さて、ときがすぎるのをただただ待ちづつけてみた。)
美
とよぶに
はまだ、なにも
過
喪
しらない。
細い未知だ
凝れば明日色も、儚クラずに。
褪める藍は深くツンとした未をあかりに空かし、
鼻をスンとした。
「もし――」手足が未来を捕まえ
もっともその艶は慈しい火群を香影つつ、
そこら中に弔うようだったら。
飽きたのだな、となく虫の息よ。
ただ耳朶にはじめて触れる
それで芽の孤の愛だに、谷 在り来り。
己は某が見るから、ときに瞳を溶かし、
ときは透かして知るのだと生んでいた。
(はなでわらう、か。)
煉を閉じた粗目の地の痩顔の蕾は 化詩ケシじゃ何事も半端で届かず、陽毒の藁を漕ぎ、ゆっくりと常葉。差雨を図るにはまだまた疣をチネって、華糞にする。書き倦ねてしまう、と風が囁く旋律が 夢遊病なのだと。
ことが伝わるのか――
その肌を引かれふと 誰かのたましいがとけ、名を先導し、キャンバスに描くよう瞼の上に投射されるものに。
重なるように静止した イノチもイノリも足りないようだった いまこのときだ 染まる空に問いかけたのを 白昼夢を辿っているのだと強く塗り替える なすすべもなく 進んだばかりに 過ぎゆくばかりの存在を 写実することも出来ず
〈いまが。つらぬかれた――〉
誰もいないのに 歪んでいるのは どこでも やわらかな
鈍い。『明日<未来>思い出>光>そして泪』
"落ちては死んでいた、おと。なら、雨"へのコメント 0件