みたされたすべてが真直ぐだった

arai

1,084文字

弧を描いて塞ぐ 白地に光を無駄に注ぎ褪せるまで

新天地から口移しで呂律を絡ませ捌いている。なにも

なにもかも、嘘つきだから あやとりしながら手拍子して、

作為的な二枚舌で覆いかぶせるように責め立ててしまえるのだ

 

艷とも違うゲストハウスの差し込むあかりは寸刻。まどべをとおくならべる女の単調な日々は、未来が見えるもの。果実は、苫東とも苹果とも違う反物にのせられ臈長けた曲線をシルクと背く。ほつしたようみぞをさらせる、その火花がどうした。茎と華が半ばにうかがえるが、風を纏っていたかどうかゆくさきを偲ばせる。

まだ時間はルーズなまま、の知らないことを、重なるすべてが雪崩を起こす前に、盗撮を施した、夢から褪めた古書を開く。

巻紙を焦がし蝋燭を吹き消し今朝を串刺しにした廃墟で、私達には兄妹にはならない、異郷のメロディーを耳に敷いた、指で包容する。

凹んだ空き缶に吸い殻を寝かせ、烟った督促状が現実に引き戻して、また明日のことをおもった。満月も見えないのに明るすぎる未来に幸福と逝くさきの区別がつかなくなるが、思案に下るだけで腑に落ちず胸に手を当てただけで何故か痛むから、

腐りきったあとでやはり命を感じられた、その華華は今々と、糸と針を回している。

 

やはり、塒。

 

聞こえてきたアナグラムのやがては昏く。真夏の大輪をなんと示そうか、闇雲に鉱泉が、いつの日にか身を投げ出した。

廃道なんだよ、この袋小路に目を凝らせば、蜉蝣が踊っている。

月下美人の蕾をもう何日も眺めている。閉じ込めた鳥籠に吹き込むことのない雨ざらしが錆び塗れ沈みている、滑稽な風采こそ、雄大で有形に憶えてる。

ため息のカタチは様々にある。

 

星がまた、いない いない。一律には梅雨 細字の秒端、ほど、見晴らしのいい好感だけが、または梢の折れた新緑と設けれる。サンプルでもアンプルでも、一匙 見捨てたのか。つちくれにこさえた是等コラージュだが、大理石の暖炉にでも掲げて置いておくことにする。

揺り籠から墓場までと書かれた名前が独り歩きした、うろうろと螺旋を描いて、そして、それだけの集合知が娯楽街から病棟まで、つらなく。

 

減速した残響が 残り香がそれで採光窓を明けて、

何処か結わえた海路の、その昔日を流れていった。

 

そうだな、森を抜ければ橋が架かる。万彩の虚空が地を侵している。胸の内だろうこんなの。けれど連日の大合唱が焦がしている。ステロタイプの仮面が陳腐なストーリーを微笑いながら見やるときに。バターとパンと質素なスープを前に、モニターにうつされたポップカルチャーと転覆する泥舟をおおった。

 

――すべて、同じ青空だ。

2023年8月18日公開

© 2023 arai

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