黒いベッド

詩集(第1話)

松尾模糊

301文字

初投稿です。
普段は小説書きですが、現代詩に挑戦してみました。
ご感想など頂ければ幸いです。

彼女と繋がれていた糸は切れた

 

初めから見えていなかったものを

 

あるように錯覚していただけなのかもしれない

 

それでも互いに笑い合えた瞬間を

 

あの時の輝きを信じたかった

 

それぞれの道は交わることなく

 

ただあてもなく伸びていくだけならば

 

一体何のためにこんなに長く苦しい道を進むのか

 

もうこれ以上は進めない

 

静かに陽が昇るのを待とう

 

それまでは何も考えずに深い眠りにつきたい

 

小石の転がる硬いアスファルトでも

 

体を横たえて目を瞑れば

 

暗闇のベッドが深淵へと迎え入れてくれるだろう

2018年10月29日公開

作品集『詩集』第1話 (全6話)

© 2018 松尾模糊

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