ハニーローストビーナッツを食べながら
ウイスキーの水割りを 麦茶のように飲み
夜中に ぼくは音楽を聴く
Amazonが聞かせてくれるからだ
ぼくはヤンキーが作った歌をよく聴く
そういう時代だったからかもしれないし
そうした地域に生きたからかもしれない
チェッカーズはジムとジェーンの伝説について歌う
ジムもジェーンもたぶん日本人なのだ
仲間内のあだ名でそう呼ばれることを望んだのだ
ジムはおそらく走り屋で
バイクで事故って死んでしまった
語り手は残された恋人のジェーンのことを愛しながら
二度と追い抜くことのできない恋敵のことを思う
高速道路には追悼のテールランプが並ぶ
真っ暗な海の中を 赤い送り火が 爆音を響かせて
きっとジェーンは新しい恋を見つけるだろう
ぼくにはバイクの事故で死んだ友達はいない
誰もバイクで死んでいない
それでもそんな友達がいたような気がする
行き過ぎた喧嘩で 腹を刺されて死んだ友達はいない
音楽とバイクに明け暮れて トラックにはねられた友達はいない
憧れて背中を追い続けたのに もう届かなくなってしまった友達はいない
それでもそんな友達がいたような気がする
捨て猫みたいな女の子も知らない
赤い皮ジャンを着てゼファーに乗った先輩も知らない
ピリオドの向こう側も知らない
それでもそんな青春を送ったような気がする
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