二人の時間

フィフティ・イージー・ピーセス(第11話)

Fujiki

小説

2,038文字

作品集『フィフティ・イージー・ピーセス』収録作。

健人と共に過ごす一瞬一瞬が限りなく貴重なものに思えてくる。

別に特別な瞬間でなくていい。並んで道を歩いていると何も言わずに指先を私の手にからませてきたとき。私が作った料理を「おいしいね」と言って笑顔で食べてくれたとき。テレビのお笑い番組を見て二人で涙が出るほど笑ったとき。若い筋肉のついた腕に抱かれ、甘酸っぱい汗のにおいを胸いっぱいに吸い込んだとき。彼の厚い胸板を一直線に縦断する手術痕を指でなぞりながら、私は彼がそばにいてくれた何でもない時間に感謝する。

年明けまでもてば奇跡、と手術のあとで医師は健人の両親に告げた。いつ鼓動を止めてもおかしくない彼の心臓に対し、病院はその場しのぎの処置しかできなかった。健人の両親は息子にありのままの事実を伝え、残された人生の時間を悔いを残さず自由に過ごすようにと言った。

「俺、どうしたらいい? なんかすごく怖いよ」

2018年4月28日公開

作品集『フィフティ・イージー・ピーセス』第11話 (全50話)

フィフティ・イージー・ピーセス

フィフティ・イージー・ピーセスの全文は電子書籍でご覧頂けます。 続きはAmazonでご利用ください。

Amazonへ行く
© 2018 Fujiki

読み終えたらレビューしてください

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


この作品にはまだレビューがありません。ぜひレビューを残してください。

破滅チャートとは

この機能は廃止予定です。

タグ

この投稿にはまだ誰もタグをつけていません。ぜひ最初のタグをつけてください!

タグをつける

タグ付け機能は会員限定です。ログインまたは新規登録をしてください。

作者がつけたタグ

恋愛

"二人の時間"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る