「はい、――市役所子ども家庭課でございます」
「うちの子がコウノトリにさらわれました。すぐに返してください」
「はあ、なぜさらったのがコウノトリだと?」
「そりゃ分かりますよ。羽根が部屋じゅうに落ちてるんですから。ガラス窓まで割って、子どもがケガしてたらどうしてくれるんです?」
「まあ落ち着いて。コウノトリは理由もなしに子どもを連れ去ったりはしません。まずは状況を聞かせてください。お子さんはおいくつで?」
「二歳です。今度の十月で三歳になります」
「まだ小さいのね。それでコウノトリが来たとき、あなたはその場にいたんですか?」
「……いえ、一人でアニメを見させていました」
「まあ、ネグレクト!」
「人聞きの悪いこと言わないでください。夕ごはんを作っててちょっとお隣にお醤油を借りに行ってただけです」
「でもまだ二歳の子どもをほったらかしにしておくなんて問題あるとは思いませんか? ご主人はどうしていたんです?」
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