青山学院大学文学部比較芸術学科教授の三浦哲哉による新著『自炊者になるための26週』(朝日出版社)刊行記念イベントが3月13日、東京大学大学院総合文化研究科教授の國分功一郎をゲストに迎えて都内三鷹市にある本と珈琲の店「UNITE」で行われる。

 『自炊者になるための26週』は、料理のどこが楽しいのか、なぜ、どんなふうに〝風味〟が人を感動させるのかを、余すところなく描いている。また、「トーストを焼く」からはじまり、「みそ汁を作る」「買い物に行く」といったように1週ごとの課題をクリアしていく、という本のスタイルは、自分で働きかけ、試す、という「実践」の大切さを教えてくれる。

 國分は、帯に「知識は楽しみを与えず、楽しみは知識を与えない。このような知識と楽しみの分離こそが哲学の前提であった。だからこそ、知識を楽しむこと(フィロ・ソフィア)としての哲学(フィロ・ソフィア)がありえたのだ。 しかし、本書が示すのは、知識を与える楽しみであり、楽しみを与える知識に他ならない! 知識と楽しみはこうして一体となる。これは人間がもちうる賢さについての書物だ!」という推薦文を寄せている。この文は伊哲学者アガンベンの『テイスト』という短い本(未邦訳)が下敷きになっているとのこと。

 今回の刊行記念トークイベントでは、アガンベン『テイスト』を取り上げつつ、一見して謎めいた帯文の意味についても話す。料理を入り口に、お二人の対話によって「楽しむこと、味わうこと」の深淵について考える会となる。

 来店参加料金は1650円(税込)で、オンライン参加料金は1100円(税込)。

 料理、自炊と哲学、一見何も関係ないように思えるが、日常の当り前を問うということに哲学の始まりはあるのかもしれない。気になる人は参加してみてはいかがだろうか。