直木賞作家の原尞はらりょう(本名 原孝はらたかし)が5月4日、福岡県内の病院で死去した。76歳だった。早川書房がホームページ上で伝えた。葬儀は家族葬で執り行ったという。

 1946年、佐賀生まれ。九州大学文学部美学美術史科卒業。70年代はおもにフリージャズのピアニストとしても活躍した。1988年に私立探偵・沢崎が登場するハードボイルド長篇『そして夜は甦る』でデビュー。同作は第2回山本周五郎賞候補にもなった。1989年には『私が殺した少女』で第102回直木三十五賞を受賞した。

 その後も、『さらば長き眠り』(1995年)、『愚か者死すべし』(2004年)と沢崎シリーズを書き続け、2018年に14年ぶりに発表した長篇第五作『それまでの明日』が遺作となった。

 そのほか、短篇集に『天使たちの探偵』(1990年)、エッセイ集に『ミステリオーソ』、『ハードボイルド』(ともに2005年)がある。以上はすべて早川書房刊。いくつかの作品は韓国やフランス、台湾などでも翻訳されている。