インド出身の作家ギータンジャリ・シュリーが26日(現地時間)、英国の文学賞「ブッカー賞」の翻訳部門にあたる「ブッカー国際賞」をデイジー・ロックウェル英訳の『Tomb of Sand(砂の墓)』で受賞した。

最終候補6作に入っていた川上未映子『ヘヴン』の英訳版「HEAVEN」(サム・ベット、デビッド・ボイド訳)の受賞はならなかった。

最終候補に選出されたのは『ヘヴン』のほか、アルゼンチンのクラウディア・ピネイロ『Elena Knows』、ノルウェーのヨン・フォッセ『A New Name: Septology VI-VII』 、ポーランドのノーベル賞作家オルガ・トカルチュク『The Books of Jacob』、韓国のボラ・チョン『Cursed Bunny』だった。

川上は自身のTwitterで「受賞はヒンドゥー語の”Tomb of Sand”、80歳の女性の語りが詩情とともに変容していく長大な物語だそう、本当に本当におめでとう!」とギータンジャリと頬を寄せ合う写真とともに彼女を祝福した。

『Tomb of Sand』は、インド北部を舞台に80歳の女性が思いがけずに新たな人生を切り開く冒険物語。ユーモアと独創性はもちろん、宗教観や国籍、ジェンダー問題を鋭く指摘し示唆に富むと高く評価された。ヒンドゥー語で書かれた作品の受賞は今作が初。