波野發作(ハサック・ナミノフ)のSF小説『The Door into Last Night』が、豪SF文芸誌『AntipodeanSF』に掲載されたことが分かった。

波野本人がTwitterで明らかにした。

翻訳は、有志であるカメイトシヤ氏が担当した。

『The Door into Last Night』は、先日同サイトにも掲載された、『たったひとつのクールな方程式』の続編となっており、前作と合わせて読むことでより楽しく読むことができるだろう。『AntipodeanSF』への掲載に際し、波野はHassac Naminov(ハサック・ナミノフ)の筆名を使用している。また、波野は同日本語版の公開を予告している。

AntipodeanSFはオーストラリアのSFオンラインマガジンである。1998年に創刊され、今号で261号になるという長い歴史を持つ。オーストラリア発と言う事もあり、’down under’(オーストラリアの蔑称にして愛称)なSF創作を目指している。編集チームはネットで作品を公開することに大きな意義を感じており、このネット上の連帯により資本主義イデオロギーを破壊する意思も示している。また、マガジンはオーストラリア国立図書館に保管される。今年2月には、斧田小夜の小説「だってせんたっきさんがくつしたたべちゃうんだもん」が、また先述の通り5月には波野發作の小説「たったひとつのクールな方程式」が同じくカメイトシヤ氏の翻訳により掲載されている。

まだまだコロナウイルスも引かず、文学フリマなどのイベントも中止となるなど、個人による小説発表の機会が狭まっている昨今だが、同時にオンラインによる世界各国のサイトやファンとの結びつきに改めて注目させられる。今後とも、波野發作と破滅派同人、また翻訳を担当しているカメイトシヤ氏の活躍と躍進に期待したい。