三鷹市から武蔵野市にかけて広がる都立井の頭公園に、同地に縁の深い二人の文豪の記念施設が誕生する。

三鷹市の清原慶子市長が11月22日の定例会見で整備計画を明らかにした。新しく整備されるのは太宰治に関連する施設「太宰治文学館」と、吉村昭に関連する施設「吉村昭書斎」の2施設(どちらも仮称)。両名とも三鷹市に縁が深い人物である。

太宰治は昭和14年9月から、疎開などの一時期を除き、玉川上水で自殺する昭和23年6月まで三鷹に在住し創作に励んでいた。吉村昭は昭和41年に新人文学賞である第二回太宰治賞を受賞するなど間接的ながら太宰治とゆかりがあり、平成18年に膵臓ガンの療養中自ら点滴やカテーテルの管を抜き自殺とも見れる死(公式には病死とされる)を迎えるまで三鷹市に在住した。

平成30年の太宰治死没70周年を控え、三鷹市が記念事業を企画していたが、太宰遺族から常設展示を条件に資料を寄託され、吉村遺族からも書斎の移築が提案された為に今回の整備計画が実った形である。また来年2017年は井の頭公園の開園100周年を迎え、こちらの記念ともなる。なお、平成20年3月に整備された「太宰治文学サロン」は太宰治文学館と一体化される予定である。整備計画はこれから都との協議などを経て詳細が決まって行くが、「三鷹の森ジブリ美術館」の隣接地が候補とされており、整備は2018年(平成30年)に始まると言う。

太宰治はその生き様や作風から現代の若者にも支持されており、最近でも「文豪ストレイドッグス」など新しい太宰像が生み出され続けている。また吉村昭も、2011年の東日本大震災を期に地震に関するドキュメンタリーなどで再評価が進むなどしている。死して尚愛される文豪と三鷹市のこれからに期待したい。