最早、既に二十年前になるが、私は山谷、ドヤ界隈に住んでいた。一泊、二千五百円の、ごめんなさい往時としては中々と良いドヤだ。
然し、毎日と徘徊して所謂、ド・ルンペンと交流していた。間違えなく云う。素敵な人々だ、懐かしい。
彼等は、山本周五郎あたりも描いているが、先ずもってユーモアのセンスが深い。一泊、八百円の四人部屋に住み、夜な夜な一串、六十円の焼き鳥屋でアウト彼等は素敵であった。
挨拶はこうである。
「人を殺めてた?」
実際、彼等は人を他界に追いやったコトは無いだろう、多分。然し、そうしたユーモアが美しい、何故なら誰しも「ないないよ、ルンペン」と返答して乾杯で済む。
例えば、支那蕎麦屋に行つたとしよう。有名店ある。美味い、美味いとプチブルジョアは騒ぐ。だが然し、私は不味いわと感じてもハードルを、お馬鹿が上げている故、ご馳走様でした、まいう~、と述べるしかないのである。特に若い男性が個人でケイエしている店は、痛い。何故なら、彼の人生が懸かっている故。
そのてん、山谷の挨拶は人を殺めた? 然し軽い。最低限なるユーモアで客同士のハードルを下げる。等々は、山谷を名乗る程な故、名誉大使になるくらい逸話が有るが長くなる為、また後日。詳しくは往時のおうじ氏との山谷ミステリーツアーに面影が残っている。途中で、おうじ氏が屋台の寿司屋はイマイチなるルポしているが、ごめんなさい、彼も識らないかもで「北千住から客人が来る。彼のスシにだけ痰を入れろや」 なる山谷式サプライズで、そりゃ行き付けの私以外、不味い。
話しは急転するが、繋がりは在り語る。
昨夜、私は逮捕された。
猫カフェを八時間、満喫したら高揚した故、流れで場末のスナックに凱旋。明らかに、北千住流になる。太陽は眩しくなかつた。
スナックのママは美人であつた。やがて、私の酒量はアガる。何せ猫カフェでも水筒に入れ飲酒していて、猫も良い意味で同士と思ったのであろう、基本、抱っこNGなのだが全て、たわいもなく、抱いた。
そうしたテンションでスナック。
私は、スナックママに山谷ノリで、生きろ! とかポンチ画の映像作の台詞を吐いていた。やがて、古希くらいなる客が来たら、モトリークルーを模倣した、所謂、禿頭を叩く、である(詳しくは、ガールズガールズガールズのミュージックビテオを)。
やがてイエローサブマリンじゃなくイエローサブマリン音頭を歌っていたら、事実としてポリスが来た。
帰り、聞かされて曰く、ガンズ&ローゼス、三年B組、と連呼していた、らしい。
初めての留置場は居心地が良かつた。
トイレ付きの六畳くらいの一部屋。しかも冷房がガンガン。長く長く、滞在しようと決めた。我が家よりも快適な故。
意味がわからないが、自決防止か? 靴下を取られる。覚えておかこう。ネタになる。
二十三時くらいに所謂、檻に入れられて、二時間くらい爆睡していたが、見巡でポリスは来る。
ちょいと寒いわ、冷房が。と延べたら快適に。次。居心地いいし、ネタになる故、暫く逗留して可能か? 山谷式に頼んだら、確認された結果、逆に貴方、財布に千円はあるのでタクシーで帰りなさい、なる台詞。ここで居たい、出なさい、逆問題。深夜、四時の私。
私は、山谷式のヤンチャははするが、チキンなので本来の犯は皆無な故、無論、それは尊いがタクシーで帰宅した陋屋の午前六時。靴下とパンツ姿で、この、下らない事実、雑文を呑みながら、山谷の方角を見遣りつつ、ウッドデッキで、ルンルンルンベンに捧ぐ。
金銭を帰せ、犯罪なしよ。
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