イリーガル小説家

西向 小次郎

ルポ

633文字

「マスターの息子さん?」

僕はそれを調べようと足繁くこのBARに通っていた。BARの名は、『DENE』。良し!良し!良し!

「そー……では、ありません。」

ちがうのかぁ!これは予想に反して面白い!

「なーんだ。残念。昔ね、カクテルパートナー事件ってのがあって、それの首謀者に似てるなって、思ってた。」

なんじゃそりゃァ?!

「青年を拾った。私が知ってるのは其れだけ。」

 

「吐き気も無しに……本物とは言えんのう!!」

 

「む、村方!」「ええい!待てい!理屈は分からんが!お主、村方では御座らんな!」「対した!!」「無礼な口答え!その方の道理聞くに耐えん!そういうことじゃろうに!」「いかん。カットじゃ、カットー!少し落ち着け!まったく。」「黒澤、偉そうじゃのう」「じゃのーて、」

 

「……村方君。悪かった、まあ。座れ」

「いやー、よっぽど外は暑いんじゃろーな。」

「わからんよ。村方が来たくらいで、わからん、わからん。」

「村方君、はよう。」

「案外、そこいらが涼しいか。れいと〜じゃ、れいと〜」「バカバカしい」

 

「よし。村方、ちょっと頼みがある。」

「そうなんよなぁ」


「お、いや、まったくわからん。

うまいな、村方君は!」

 


 

「ふーん」

「たしかにわからんな。」

「という具合じゃ、村方!」

 


 

「わしが言うても信用せんじゃろうが、

この『袋小路大辞林』にそう書いてある。」

 

「まったく、用意がいいね。大将は。」

2024年7月4日公開

© 2024 西向 小次郎

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