ラジオを聴いていると、たまに流れてくる曲がある
嬉しくて泣くのは
悲しくて笑うのは
もう嫌なんだ
そうなのか
僕は嬉しくて泣いたことがない
嬉しいときは笑うものだ
言われるまでは気づかなかった
もし嬉しくて泣くのなら
それはたぶん 君の過去のせい
君が嬉しくて泣くのは
その喜びを知らなかった自分が
かわいそうだから
その喜びを知るために
あれほど苦労しなければならなかった
自分がかわいそうだから
君は泣きながら
自分の過去を抱きしめているんだ
幼い子供が何も知らないまま
使命を与えられ
世界を救う英雄となって
その代償に彼の子供時代をすべて失い
ボロボロになって
そんな子供を抱きしめるように
君は喜びに泣くんだ
2016年11月29日公開
2016-11-29T09:39:10+09:00
2016-11-29T01:43:04+09:00
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著者
高橋文樹
破滅派
編集長
日本の小説家。1979年8月16日に千葉県に生まれる。株式会社破滅派代表取締役。太宰治や大江健三郎を輩出した東大仏文科在学中に『途中下車』で幻冬舎NET学生文学大賞を受賞し、幸福な作家デビューを果たすも、その後辛酸を舐める。2007年、『アウレリャーノがやってくる』で第39回新潮新人賞を受賞するも、単行本化されず、この世のすべてを憎むようになる。
自分の作品は自分で世に出すというDIY精神のもとに、日夜活動をしているプログラマーとしての側面もあり、千葉県でもっともGIthubスターを稼いだPHPエンジニアでもある。趣味は家づくりで、山梨に自分で家を建てた。
"嬉しくて泣くのは君の過去だから"へのコメント 0件