荒ぶるダイナマイトと水の飛沫から生み出された利己的な解読。

巣居けけ

小説

9,964文字

僕はもうみんなのように筆を持つことができないよ……、リア……。

リア……。彼の話す文言はその全てが機密情報扱いとなっているため、声の全てに強力なモザイクが掛けられている……。ぜんまい式の赤ちゃん……。
「彼は自作のポエムを間違えて書き写す行為にひどく敏感なんだ……」
「間違えるとどうなる?」
「……自分の目で確かめたら?」目や耳の類を必要としない世界との関り……。

ミミズが這いずり回る音たち……。終了した店先と花束の連続性……。度重なる命令無視によって蛸の怪人に変身させられてしまった蟻の集団……。

野鳥と心中する覚悟の主婦……。清掃されている階段と水浸しの棚。歴史を感じさせるいくつかの見本の手助けと消滅した素手の中の乾いた音と犬の声。どこからともなくやってきたミミズの這いずり回る音。屋根を貫通するショットガンに巨大な水没の一滴……。

青色とトマトの煮えたぎる冷戦。立ち上がる人間と複数に分裂するスライムのような街。朝日が潜り抜けてからやってくる。奇妙で無駄な校庭の中心的人物……。

未遂に終了する手続きと書類の雨による下水道破裂商談……。重ねられた掟と上に回るねじ切れた女の腕。脳が晴れを予測してから指揮棒のパレードを開催し、灰色の粘土の行く末を見守る。

練り上げられた膣の壁……。加齢による解剖と色を喪失した空。カメラの音だけが頼りになっている詩人の長身と長すぎた休日。

悠久が出るか聡い人身が出るべきか……。白色の硝子の中心に確定された数字の羅列が吐き出される。そして無抵抗な蛆虫の友達の店員が立ち上がり、港の帽子に点灯を促す。

赤い矢印が降り注ぐ街……。空が空気を孕んで太陽の列車に背後を教える。さらに講師の頭の中で新しい街を建設し、線路の狭間のふっくらとした刀剣に唾液や油を垂らす。
「するとどうなるの?」という掛け声と共に、亀の中から出てきたペンウィーは白衣を翻して後方を確認する。「なにもいないか……」
「手順を間違えたな、ペンウィー?」
「どういうこと?」

ペンウィーは眼鏡をクイと上にしてから熱風を鼻の穴から出す。
「つまりこういうこと」

と記す太陽は、その形をぎざぎざの支柱に変えてからペンウィーの身体に入り込む。そして彼女の唯一の塔を崩壊させ、医学に貢献するための用意を完璧に終了させる。

顔面よりも巨大な太もも……。魅了されていく黄緑色の頭髪……。落下するペンウィーの自宅からの白衣と万年筆……。砂漠に出張した売り上げ資金と滝……。秀逸な頭と尖った頭蓋。白色の臓器を棒で当ててから階段の横を行く……。

チーズだけを投げている力士。サイトの中間地点でロケットを現している主人。さらに、下水道の香りと空間の認識を引き金で致している少年やキャップの外側のカプセル・マシンたち。
「少佐?」
「いいや……」という呪文の中から駄菓子を見つけ出して鋼を研ぎ澄ましている滑り台。砂浜の勢いで焦げた人間に当たりを付けて屋根を操作する。
「水が降って来るな……」

消音のための学生衣服やマスクの中の点滅装置……。イニシャルの青色と予定を記入した書類……。最奥地のわからない硝子と光源の合わさる地点。余白の地点で立ち止まる消防士たち……。山を超えてから死期を悟って前転を繰り返すプリント……。

台所と方程式の処理される音楽。呼吸の音と繰り返される上下の蠢きが地中の建物に響き、鉄の響きに電波を与えている。残りの白い粉を咥えてから水滴に顔面を連結させ、向かってくる列車の黄色い流れに夕暮れを感じる。
「だからこそ、僕は速い足取りの中から見つけないといけないんだ。注射器の押し込まれる音や鉄同士の重なる音に未来を見出して、山が崩壊して街並みが創られるだけの日々を観測したさ。ラムや肉の破片から人間を作るのと同じで、僕は船の上の村落を大切にすることしかできないんだ」
「お前の話はよくわかったよ」と一旦胸を下ろす係長のペンウィーは酒を食らう。そして眼鏡を上に押し込み、眉毛を高速で動かす。「でもな、少年のリピートに立ち向かうことなんてできないだろ? おれたちは商売で医学をやってるんだ。そんな寄り道に使うカネは無いよ」

気分転換のタイヤに、計算式の要塞と空中から注がれる黒い粉。

管の中の湯舟と未来への放送時間……。改装された重火器とトンプソン・サブマシンガンの音。廊下を走る少女の尻に住む蟲たち……。全ての昆虫が行きつく洞窟の魔法と磁力の電撃的速攻……。果てしない砂の地獄にテレビに映る人々の悲しみの涙。塩の風味とガソリンの香り。回転する色彩と電波のやってくる時間。夜が長引く理由と市長のためのスナイパー・ライフル。

取り残された串刺しの失敬……。爆ぜる火薬と電光石火に耐える鉄の塊。歩きながら咥えられたアルミニウムの棒に点灯するいくつかの大砲の流れ。

立ち止まるガンマンと発砲の風圧に耐える心臓。送られてくる無数のドリフトと煙が立ち込めるための手前の準備。数滴だけの血液に棘と塩素を落としてから教団の崩壊を願う。
「なあ、これが毎日おれの元に訪れるんだが、これはおれにもう一度見ろと言っているのか?」
「お前はどう思う?」
「僕かい? ふうむ。これはいかにもインタビュー書類といった具合だけど、それだけじゃない。これには確かなサラダの油があるはずなんだ」

さらに開示された回転式のポンプと、それを使うためのグローブの分厚い壁紙。正式な編み込みと色の付いた衣服に敬礼をしてから自分だけに見える特別なドアを開いて向こう側に飛び立つ将軍……。
「刀は持ったかい?」
「ここに……」
「よし。なら見せてみろ」
「ど、どうぞ」
「ははっ! コッケイだって! コッケイ!」

銃の帝国に盾を投げる娼婦。橋の周辺で文字を記入している荷物係。レジのカウンターが破裂して札束をばらまいている。さらに近くの精神病棟が同じように破裂して風船をばらまいている。
「なあ、これからどうする?」
「ひとまず酒だ。カクテルとラムが飲める場所を知っているか?」
召喚された蛇の大群に向かう列と、それを後から追っている数本の列車。さらに天空から全てを観察して爆弾のような人間を送り届けている宿屋の連中……。
カプセルの中で巻き起こる全ての自傷に名前を付けて遊んでいる大佐の友人が、ホテルの容態を尋ねて周っている。
「それで? このマンションには何人が入っているんだ?」
「大佐、マンションではありません。ホテルです」
「ああ、そうだったな……」

葉巻の中の小人に敬礼をする娼婦と大佐……。さらに人間の肌を走るナイフの切っ先が輝いて地球のようになる瞬間……。

煙と職人と苔むした灰色と石の羅列による食道……。下る裏の声とクラブ活動のための死人の素手……。吐き出された低音と上から落下する臓器の食堂……。
「君は何歳?」
「僕? 三十」

ブランコを跨いで朝焼けを飲む。すると夕暮れが腹の中で錬成されて自力で出てくる。折り紙の色と硝子の引き戸。

ひねり出されるポンプアクションのショットガン。真っ二つに折れた希望や絶望やその他のありとあらゆる感情に付随する分厚い白い紙で作られたミニチュアの家族。火葬に呼ばれた男が飛び上がってリュックサックを投げている。大会の前に色の無い白米を食べてから土に還る……。
「いつまで続くの?」
「永遠」

空を仰いでから吸い込んで大気に臓器の香りを吐き出す。そして戻っていく胃液の数を示してから太陽の寿命を考える。先天性の松明……。飛んで行く飛行場と黒板の鳴き声。上から空気を吸い出している睾丸の乾いた鉄の香り。

アイスクリームのストリーミング。サイケデリックの教師と二足歩行のチョーク。予定された回転の数値と日付に当てられた挙手の範囲外……。ツリーの上と体勢とリコーダー・アダルト。九州まで飛んで行った靴と足の裏の街。「そして銃弾で飯を作るって? はは、ムリな話だよ……」

宇宙の法則と重力や会議室。選ばれた指の先と閃光の輝きによるはげのタイトル……。喘ぎ声と後ろ方向のキーボード操作に宿敵の割れ目。リタイアしたトーテムポールにビニールのテープや椅子の木目。

切り込まれる機関銃と発射された人間の頭部。力士たちは自分の脂肪を燃やして冬をやり過ごしているという……。次のプログラムでは何をするんだ?

恍惚としたマニアック会場。道徳の練習と講義の中で見出した便器による物理的な討伐。

すると山田の上空を戦闘機が飛び立った。田中がハンバーグとなり、武勇の力でその身を焼いた。硝煙の鍵たちは自分だけの四足歩行で公園に侵入し、次の新作で発表されるプラスチックの容器の中に廃棄物を入れた。
「掃除機に向かうとするか……」という呪文を嘆く田中は操縦のためのレバーから手を放し、横の玩具のダンボールに頭を入れた。「抑揚!」

吸引される一撃の終了とサイレンの赤色や鎌のトリカブト……。消耗する飛沫の音と軋轢を呼ぶはげたランニングシューズ。

争奪戦の末の泡と乗り物を食らう溺死の推定……。参加する戦争と応急手当の白い背景。古代のトマトと赤色の野菜ではない果実。立体的な人間とそうではない人間と蛆虫の中から上がってきた人間たちによる互い違いの着席。

どこまでも続く長い道路。それと連れ添って寝込んでいる唯一の弁当箱。槍を刺し入れてからラッピングペーパーを食べているシャッガン……。
「君はどんな色がいいの?」
「空色以外」

パレードを読んでいるいつもの酒……。大きな風を呼び込んでからコンビニエンスストアの扉を破壊してカクテルを投げる。
「わあ! これで散弾銃を作るんだね?」
「違うけど」

オレンジジュースを飲み干す修道女。ダイアモンドを咥えている犬とリードの中の繊細な樽……。ドアを叩いている猫と鼠の集団。フードを被ったばかりの女児に歯列を黄ばみで埋めている就労のための手はずを記した手記……。

四角形に回転し続ける楽園への切符。十円の音と硝子の崩壊までの期限。連続する人間の態度と試験管の視力検査とテストの数枚だけの指揮棒。矢印がようやく懐に帰還し、太陽の熱を布団に移して死んでいる……。

朝日を眺めてから傷付いた硝煙に敬礼をしている……。構成に必要なドリルや金属の鍵に、透明で軽装で遠くまで見つめることができる細長い黒色の四足歩行物体が自力で歩いて列を作っている。
「カードは?」
「ここに」

右腕そのものを取り出してホルスターに挿入する……。革の音が響き、何もかもを喪失したシンバルの音でカモフラージュをしてスケッチを終える。万年筆を置き、惑星の怪人に数値が上がったことを伝える。
「これでよろしいですか?」
「はいぃ……」

虹が復刻し、橋の先端から布団を取り出して不安を拭う……。しかしアルファベットの大群から全てを取り出すことはできず、機関銃の流れに身を任せてしまう。
「どうするべきだ? どうするべきだ?」
「落ち着けよ。ひとまずみんなでトマトを食べよう……。すると炎天下の中で一度きりの鉄の音が鳴るだろ? さらに続けて猿の真似をしている角ばった槍が飛んでくる。おれたちは飛行機の中からそれを眺めて、三つに分かれたトマトの怪人に唾を垂らすんだ。スイッチが押され、圧倒的な立体物が登場する。おれたちはそれに参加して、ステーキを食らって牛乳を飲む。腹を満たすとジャンプをして、蟲が舞うのを待っている。必ず火星の色を演じて、腹の表面が焼けていくのを感じる。熱帯で右腕を溶かし、時計の針の中心点で爆発物を置く。短髪の銃が鳴り響き、ミルク缶の香りが立ち込める。おれたちはガソリンの重さで階段を作ってから電子レンジのスイッチを入れる。すると隣の友人が再び牛乳を飲む。おれはミルク缶を飲む。

先進的な後頭部が吹きすさぶだろ? さらに沸点が自分から下ってきておれたちの遊び場に侵入して、氷の棘から発信をするんだ……。どうしようもないほどの電波の中で光を見出し、空中で破裂する白い塊のことを話す。

その女は終電を逃す。さらに駅の中央で寝ることを強いられる……。白米を恋しく思いながらも、その身体はすぐに寒さの中に溶けていく。桃色と黒色の兎が横断歩道を二足歩行で行く……。おれたちはその後を追ってプールの中に入る……。化石の咳きこみが辛いって? なら焼酎を食らいな。そして遠足気分でダイナマイトを咥えな……。

ゆったりとした主張が行き過ぎた電車に激突して人類の頭髪の中をまさぐっている……。ぬらついた腸が飛び上がって空を赤いタキシードに濡らしている……。前転の鉄と紙切れの素行が合わさってから楽園のような出入り口に突き進んでいるさ……。歴史の大半が嘘なら、授業の被害総額はとんでもない跳ね上がりを見せてから死んでいく。ぼくわたし、あるいはおれがはげた時には腹の側頭部で湯水を垂らして病院食を混ぜ合わせる……。太平洋の底力が未来への鉄砲に影響するはずなら、硝子で作られた球体の子宮に扉を付けることも可能だった。

黄金色だった蟲の歩く先と、二足だけのソックスに唾液を垂らす。角が柔らかく育ってから空に晴れ渡る雲を選ぶ。文字が噴き出る下水道に鍵をかけてからコンビニエンスストアに深夜を求めて向かう。作曲家は雲のような曲を作り、画家が太陽を演じて筆を揺るがす。起伏の無い物語に自信をつけて輸送して油に滑る。

新天地の場からトランプカードを取り上げるべきなの。それとも、社会の波のような硬い物体に尻を貼り付けて射精をするべきなのか。コックはいつでも包丁を研いでいるが、三角形のテーブルの上にはなにも出されない……。悪天候の中と商売の広場に掠れた声を孕んで象の横顔をスケッチする」
「自信が無いのか?」
「母体」
「ならポテト?」
「いいや……」そして首を高速で横に振るう。すると風圧が目の前の彼の頭部を切り裂いて中の頸椎が見事に露出する。「空のような壁紙に参加したいだけなんだ……」

椅子が喋り出して動き出す世界。さらに、空中に常に止まっている階段のような顔の蟻の大群。リコーダーの完成図を見つけて腕に浸し、水滴が教えてくれるのをひたすら待った。
「それが、君?」彼は頸椎だけで尋ねた。
「もちろん」という呪文と共にペンウィーは頷いた。その分厚い首の動きが、目の前の彼の頸椎を動かした。

終了した冊子と青色だけのクレヨン軍団。立ち向かう列と時計の音やネジが外れてしまう鴉。右腕を取り上げてからスポーツカーのような速度で新幹線を真っ二つにする。
「よし! 窒内への侵入成功……」
「君はそればっかりだ」

ペンウィーへの指摘と共に流されていく彼のいかだのいくつかのロープ。それらの後を続く一本の細長い蟲の死骸。銀行が悲しくなって一枚の紙を鼻につける。すぐに支配人が頭髪を結びながらやってくる。
「どうかされましたか?」
「ちょっとこのランチが濃くてね……」ペンウィー医師は目の前に存在しない料理を指さす。支配人はタキシードの胸を叩いて口から蛇を出す。そして目の前の架空の料理を食わせる。

するとペンウィー医師が激昂した。細い女体をわなわなと震わせて、料理に向かおうとしている蛇を横から掴んだ。
「名医!」
「私の料理に蛇なんかを付けるのか?」
「ではどうすれば……」
「てめぇが食え」

支配人は口の中に蛇を収納すると、二秒ほど躊躇してから顔面を前に突き出して料理に当たった。すぐに顔面にぬるいものが降れた。それはハンバーグだった。支配人は口を動かしてハンバーグを咀嚼した。

そのまま過ぎ去っていく音楽。鍵盤のいくつかを盗んだ書類や指定の画家の頭部を殴る木製。鏡だった冷凍庫の落下する時間。組み合わせ次第で変動する男の頭髪……。醜悪な態度と更新状況のサンドイッチ……。それらに加えられた一人の他国の戦闘員……。

分裂して飛んで行く二人だけの利己的授業……。曖昧な望遠鏡と推定の息。電子的な操縦と機械の金属だけの音。「総じて、態度だけが複数の音楽を産み出しているのです。さらに我が軍は、砂漠の中心をあえて進んで獣の類を見つけたのです。癒し」

醤油の色を演出するワンピースの長い丈……。虹がかかってからの作戦開始合図。大陸を巻き込んだサーカスの独りよがりなダンス。アルファベットが過ぎ去って行く証明。台所の戦士の嘲笑。

赤い尻尾の酒と氷が落下する天体望遠鏡のシステム……。終息する山間の三つだけのコンピューターや、重ねられた立方体の攻撃と真珠の岬。閉じ込められたイメージの脳に浸食する液体と果実の香り。

正常なプログラムと不誠実で便利な掃除期限……。立ち上がる枕と二文字だけの小説や鴉の刻印の黒い羽……。見限った先人の化石と発掘される二足歩行の巨人……。森の中心に進む汽笛と笛の中の構造に人道的な最期……。終了する二つだけの惑星に立ち向かう葬式の抗争……。カリスマとセンシティブと下校途中とサイレン……。

司祭を取り仕切る鏡……。抑揚を再び巡る道筋……。純粋の空中浮遊や手先の数と公園。少年が駄菓子屋に向かう数日。限られたコンディショナーとパッケージの赤色。

提出されたピアニストの指……。高額な資金を提供する猟奇的犯罪者。メロディーラインを二つに変形させるリングの上の手術台。
「何かが始まる予感がする……」
「気のせいじゃない?」

推定に進む水の飛沫と深海の世界からの手招き……。召喚された魚介の香りや船の底。制限時間と爆薬と右腕だけの主人公。前任の顔を思い出せない澄み切った空に加えられているカセットテープの黒色の斑点。

補足された九時の波。やってくる喪失の手はずと機関の出入り口……。鍛え上げられた筋肉に敬礼をする蟻の集団やプロジェクトを完遂させようと躍起になっている男。
「僕はどうしてもその先に行かなくちゃならないんだ……」
「どうして?」

そしてエレベーターが過ぎ去ってから油の色を盲目で当てている少女……。行方不明のチラシの中から自分の素顔を見つけ出してスコップで埋めている少女……。
「弾丸は?」
「ない……」

さらに緑色の素手の中からショットガンだけの弾丸を見つけ出している少女……。
「まるで映画みたいね!」
「それか遊園地……」

発売されたカプセルとポリゴン加工の右腕。松明を呼び起こしてから自分のベッドルームにダイビングをして臓器を揺るがしている脳みそだけの知り合い……。筋肉を喪失した黄色いパーカーのバックパッカー参上……。

七千と四百ほどの至上に入り込んだ歯列。太陽を称えている二万名ほどの軍隊。ギリースーツの必要性を説いているシスターの上部に爆薬を落下させる空港の人間。

唇を動かさずに喋っているマフィアの女。火傷の痕だけが頼りになっている地図と未来への予測……。限りなくゼロに近い修道女のげっぷ。便器に貼り付けられた手紙の内容から推察する探偵気取りの少年。
「僕は蝶ネクタイなんてしないけどね……」
「でも小さくなった!」
「それは君のせいでしょ」

それからいくつかの銃声を聞いて階段を下ってリボルバーを回転させる……。

友情を感じさせる空き缶とビールが入っていたアルミニウムの四角い容器……。髭で松明を阻止している十二時の門番。歴史的な建造物に唾液を擦り付けて国の壁を崩壊させるドラム缶……。
「見ろ! 銃弾の雨がゆっくりになっているぞっ……」
「それは先生のせいじゃない?」

どうしてクラスメイト同士で戦うことになってしまったのか……。文字列を組み合わせて時計を演出している複数の乾燥された分裂はしない立方体の正直なはげたガラス細工の工程の力士。鍵を投げ捨てて坂を下っている……。

どうしてこのような正式ではない序文が広まってしまったのか。そこでおれは公園の中から一粒の雨を見つけ出し、そこに佇んでいたレースの結果発表だけが生きがいの女に右手を突き出した。すると彼女は自分の身分をしっかりとわきまえた踊りでおれを魅了し、すぐに夕暮れがやってくることを示した。
「どうして振り付けを考えたの?」
「アルガンドリマニア!」

彼女は自分の出身国特有の訛りのある呪文をおれに吹き付けてから去っていった。おれは上がってくる夕焼けに唾を飛ばしながら換金所に急いだ。

完成された前転と不時着の海。透明度を連鎖したドミノの目的と木々の隙間から覗く刀を使った電源の発掘にドリルを叩きつける。
「ドラム缶の中に潜んでいた盗人が飛び出してきて、おれの右腕を食らったんだ。さらに撃ち滅ぼしてくれる鉄砲の波や蜃気楼の発生装置が船から落下して、空色の天井に貼り付いた蜘蛛が鬱陶しく泣いていた……。おれは近道の森を突っ切ってから泥の這い出る街を睨んでいたさ……」
「もう寝たい……」
「それはいけないな」

かしゃかしゃと音を立てながら繰り返されるループを抜けた先の洋館……。吹き荒れる隣の人間の扉……。心の鎖と黒色の鉄……。
「どうにかしてここを埋めろ」という呪文と共に数学教師は躁鬱の男に資料を投げている。
「ムリですよ……。僕は体育教師専門だ」
「それでもやるんだよ……。それともミンチになりたいか?」
「はいぃ……」

下された腹痛と木綿豆腐の布団。水滴が貼り付いて離れない……。
「どうしてこうなってしまったんだろう」
「お前の速すぎる射精のせいだ」
「射精は速いなのか早いなのか」

そしてチョークで指揮棒を作っている鉄の達人。難しい迷路のような人生に終止符を打って座席を広げる昔の男たち。熱を上げた高校生の女の足の裏。そこに潜む遊底のカス……。

桜色の腸が胃液と共に揺れ動く。尿か糞かの色をした液体が身体を駆け巡って溶接の現場に赴く。二時間のイメージの中から引っぱり出した絶景をシンセサイザーに落とす。インターネットが向こうからやってくる。緑色の中国人が特定のドラム回しでカネを稼いでいる。
「駄目です。それは違法です」
「でも正直者だ」
「違法です」
「この野郎!」という怒声と共に男は目の前の指揮官を殴る。ボカンと音が響いて中の鉄が吹き飛ぶ。
「違法です。違法です。違法……」
「正体を現しやがったな! この土星人が!」
「違法違法違法いほ……」

常に眼鏡が汚い商売人。小銭を逃して百足のような足に早変わりをするガンマン。道路の真ん中で卵を溶かしてみせる道化師。やかんの代わりに河童を連れてくる透明な親族と葬儀のための樽。

やがて国境を超える……。さらに後ろから迫って来る二つの素手を持った泥……。ガソリンが足りない……。試験管の中で実験が披露される……。商売道具が飛んでいく……。球体の人間が出てくる……。ヒロインの力で猫を撃退する……。右から差し込まれた次の弾倉……。空を仰いでメスを入れる主治医の男……。精神科医を名乗る道化師姿の女……。二人の間でビニールテープを広げる中学生……。スクール水着と警棒で生計を立てている中年男性……。回転するリボルバーとマグナムの成り損ない……。五つのあだ名の中から一つと二つを選んでいる少年……。切符とキャップを間違える国語教師……。リーダーシップを発揮する山羊……。どこからともなくチョークを吐き出す老人……。行ったり来たりを繰り返してグレネードランチャーを投げる宗教関係者……。名が知れたガソリン……。ガンマンの真似をするコートの男……。
「もったいないな」
「それで?」そして大男は万華鏡で五メートル先の鉄塔を見つめようとする。「どう頑張っても無理だろ……」

腹痛を泣いている水の抑揚……。立ち止まる音楽と行進を続ける銃口……。乳液で動いている一メートルだけの二本足のロボット。チョコレートの工場の二階建ての住処で油の素晴らしさを叫んでいる牧師。
「なんだ。あんたはここでなにしてるんだ?」
「吐き気」

トマトを食べている……。止まらない椅子……。さらに図書館の指定された二階建て……。再開する親子……。暗黒の時代と二時間のパーティ……。携帯電話で作られている胴体……。終電を伸ばしてから居酒屋の席を確保する女……。食材を探す調理師……。アルコール・チャレンジを続ける小学生……。「駄目だろ?」
「いいじゃん。おれはこれでも悪戯なんだ」
「悪戯? 酒? お前は気がどうかしてるのか?」

さらにトンプソン・サブマシンガンを落下させてチャレンジを成功させようとしている駅員。明かされた手順と絵本から漂うクレヨンの香り……。最も作りの良い図書室と隠された奥の部屋……。掠れた港と海への切符や釣り竿の未来……。
「これで逃げられないね……」
「なら醤油をかけます」

そして正直者の小学生は自分の白と赤の帽子に手を伸ばしてから前転でその場を制した……。

九千といくつかの朗読の時間で刺身の風を感じる……。ゼリーのような人間関係に終止符を打ち、ついでに二度目の救済を喜んで受け入れたことで休憩時間の全てを宗教に使う……。
「台所にいかなきゃ……」

そうして少年は一握りの食パンを口につめ込み、ついでに焼酎を全身に振りかけてから食堂を抜け、奥の位置に潜む台所に向かった……。

2023年3月12日公開

© 2023 巣居けけ

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