「第十回日本翻訳大賞」の最終選考対象作品が3月24日に決定した。

 日本翻訳大賞は、12月1日~翌年の12月末までの13ヶ月間に発表された翻訳作品中、最も賞讃したいものに贈る賞。一般読者の支援を受けて運営し、選考にも読者の参加を仰ぐ。昨年は工藤順・石井優貴訳のアンドレイ・プラトーノフ『チェヴェングール』(作品社)、舩山むつみ訳の莫理斯(トレヴァー・モリス)『辮髪のシャーロック・ホームズ 神探福邇の事件簿』(文藝春秋)の二作が同時受賞している。

 最終選考対象になったには、三浦裕子訳の楊双子『台湾漫遊鉄道のふたり』(中央公論新社)、宮﨑真紀訳のマリアーナ・エンリケス『寝煙草の危険』(国書刊行会)、榎本空訳のサイディヤ・ハートマン『母を失うこと――大西洋奴隷航路をたどる旅』(晶文社)、宇野和美訳のフェルナンダ・メルチョール『ハリケーンの季節』(早川書房)、舩山むつみ訳の蔡駿『幽霊ホテルからの手紙』(文藝春秋)の五作品。

 第十回の選考委員は岸本佐知子、斎藤真理子、柴田元幸、西崎憲、松永美穂。今後、5月中旬に大賞受賞作および受賞訳者発表、7月に都内会場で受賞式を行う。また、中間報告の会をYouTubeで4月20日に開催する予定。