織田作之助賞実行委員会(大阪市、大阪文学振興会、関西大学、毎日新聞社)が主催する「第40回織田作之助賞」を乗代雄介『それは誠』(文芸春秋)が受賞した。

 選考会は21日、大阪市北区の毎日新聞大阪本社で行われた。

 『それは誠』は東京を訪れた修学旅行生の物語。主人公の男子高校生は自由行動の日、生き別れたおじに会いにいく計画を立てる。旅を通して、たまたま同じ班になったクラスメートたちと心を通わせる様子が描かれる。

 受賞作のほか、新鋭・気鋭の作家の小説(単行本)を対象に、石田夏穂『ケチる貴方』(講談社)、上田岳弘『最愛の』(集英社)、木村紅美『夜のだれかの岸辺』(講談社)、宮内悠介『ラウリ・クースクを探して』(朝日新聞出版)の五作が候補にあがっていた。

 選考委員は選考委員は、いしいしんじ、書評家・京都芸術大学准教授の江南亜美子、文芸評論家・聖徳大学特任教授の重里徹也、関西大学理事長の芝井敬司、古川日出男の五人。

 乗代は2015年に、「十七八より」で群像新人文学賞を受賞しデビュー。18年『本物の読書家』で野間文芸新人賞、21年『旅する練習』で三島由紀夫賞。『それは誠』は、第169回芥川龍之介賞候補にもなっていたが受賞は逃した。

 なお、乗代には記念品と賞金100万円が贈られる。贈呈式は来年3月7日、大阪市中央区の綿業会館で開かれる。