早川書房が主催する『第11回ハヤカワSFコンテスト』最終選考の結果が8月23日に発表され、矢野アロウ「ホライズン・ガール~地平の少女~」が大賞を受賞。間宮改衣まみやかい「ここはすべての夜明けまえ」が特別賞を受賞した。

 最終候補には受賞作のほか、ナイン『アポロ・チルドレン』、山下新『NORTHERN LIGHTS HOTEL』、はにかみいちご『新世界まであと何歩』、江島周『リ・エングラム』の六作があがっていた。

 8月18日に、最終選考会が東浩紀、小川一水、神林長平、菅浩江、編集部・塩澤快浩氏の5人により行なわれた。

 矢野アロウは1973年生まれ、大阪府出身。「ホライズン・ガール~地平の少女~」は
あちこちに散らばった人類が独自の進化を遂げた宇宙。ヒルギス人の少女・シンイーは、意識から分断された右脳に狩猟の神を宿す狙撃の名手。彼女は宇宙連邦の手引きにより、前後に分かたれた脳で過去や未来を見通すパメラ人の少年・イオと探査船に乗り、超巨大ブラックホール〈ダーク・エイジ〉で別の宇宙に繋がる〈門【ゲート】〉の手がかりを探すことに。時の流れの異なる事象の地平面を舞台にした、ガールミーツボーイの宇宙SF。

 間宮改衣は1992年生まれ、大分県大分市出身、東京都在住。別名義でシナリオライターとしても活動している。

 「ここはすべての夜明けまえ」は2123年10月1日、九州の山奥の小さな家に1人住む、おしゃべりが大好きな「わたし」は、これまでの人生と家族について振り返るため、自己流で家族史を書き始める。それは約100年前、25歳の当時、身体が永遠に老化しなくなる融合手術を受けるときに、父親から提案されたことだった……。人間性から遠く隔たれた“人間”によって語られる、あまりにも痛切な愛の物語。

 12月に大賞受賞作を単行本で刊行、特別賞受賞作を12月に発売される『SFマガジン2024年2月号』に掲載の予定。

 なお、詳しい選評は10月25日発売の『SFマガジン12月号』に掲載される。

 毎年レベルの高い受賞作で話題となっているが、今年はどのような作品となっているのか今から楽しみである。