7月31日に、「早稲田文学編集室」朴文順、北原美那、山本浩貴の連名で同誌の編集・発行業務を行ってきた早稲田文学編集室が2023年3月末に解散したことを報告した。

 今回の決定について、主な理由は2021年に入り、文学学術院現代文芸コースおよび文芸・ジャーナリズム論系において、カリキュラム改革が進められ、今後、「早稲田文学」を授業などで教科書や参考図書として使用する見込みがなくなったことを上げている。これにより、早稲田大学が、2021年度をもって文学学術院に対する発行補助費を停止したという。なお、発行再開の時期などは未定。

 第10次「早稲田文学」は、2007年5月に「0号」を発行。掲載された川上未映子「わたくし率 イン 歯ー、または世界」が第137回芥川龍之介賞候補になるなど話題となった。2012年9月発売の『早稲田文学5号』に掲載された早稲田文学新人賞受賞作、黒田夏子「abさんご」が第148回芥川賞を受賞。2014年年8月から早稲田文学会発行、筑摩書房発売の形態となった。

 2014年の「2014年秋号」以降、流通・発売を引き受けている筑摩書房が当面のあいだ、バックナンバーも引き続き書店流通・販売を行う。フリーペーパー「WB」は頒布を終了とのこと。

 なお、「早稲田文学」は2022年4月に学校法人早稲田大学が商標登録。第11次以降の刊行は、早稲田大学からのアナウンスを待つ状態という。

 1891年の坪内逍遥を中心とする第1次から130年以上の歴史を持つ、まさに近代から現代日本文学において重要な場として続いてきた「早稲田文学」。今後どうなるか不明ではあるが、このまま終わってしまうことはないと信じたい。