全米批評家協会賞が23日(日本時間24日午前)発表され、小説部門を中国出身の米作家リン・マーの「Bliss Montage:Stories」(Farrar, Straus and Giroux)が受賞した。小説部門の最終候補5作品に残っていた作家、川上未映子の「すべて真夜中の恋人たち」は受賞を逃した。

リン・マーは1983年、中国福建省生まれ。幼少期に家族とともに渡米し、ユタ州やネブラスカ州やカンザス州で暮らす。シカゴ大学を卒業後、ジャーナリストや編集者の職を経て、コーネル大学の大学院創作科で学ぶ。現在はシカゴ大学英文学科で教職に就いている。2018年に発表した『断絶』(藤井光訳、白水社エクス・リブリス)でデビュー。2019年にはニューヨーク公共図書館若獅子賞を受賞、2020年にはホワイティング賞の小説部門に選出されている。

「すべて真夜中の恋人たち」はフリーで校正の仕事をしている孤独な30代女性の恋愛を描く。2011年に講談社から刊行され、サム・ベットとデビッド・ボイドが手掛けた英訳版「All the Lovers in the Night」が昨年出版された。日本の作品では初めて同部門の最終候補に選ばれていた。川上は同日、自身のTwitterでリン・マ―を祝福した。

全米批評家協会賞は全米図書賞などに次いで権威のある米国の文学賞の一つ。毎年、優れた英語作品に与えられる。