超大型SFアンソロジー『新しい世界を生きるための14のSF』が、ハヤカワ文庫JAから6月22日に発売されることがわかった。高橋文樹の作品も収録される。

本人がTwitterで伝えた。

SFアンソロジー『新しい世界を生きるための14のSF』は、先日『なめらかな世界と、その敵』の文庫版が出たSF作家の伴名練が、最新世代の作家たちによる書籍化前の作品を、宇宙・AI・ポストコロナ・改変歴史など、様々なテーマ別に14篇選出して収録したアンソロジーとなっており、編者は「日本SFの歴史を10年早めたい」と説明している。破滅派の高橋文樹の小説「あなたの空が見たくて」も収録されている。初出はsci-fire 2019であり、書籍化はされていない。収録作品は以下の通り。

八島游舷「Final Anchors」
車両衝突まで残り0.488秒。
AIによる「最後の審判」、開始。

斜線堂有紀「回樹」
ふたりで過ごした恋人の日々。
取調室でいまは、ひとり。

murashit「点対」
いや俺やってないですってマジで。
僕じゃなくて双子のアイツですよ。

宮西建礼「もしもぼくらが生まれていたら」
小惑星衝突が迫る日々のなかで、
ぼくらは衛星構想コンテストを目指した。

高橋文樹「あなたの空が見たくて」
星海旅行で出会った地球人から
後日届いた、彼の最期の映像記録。

蜂本みさ「冬眠世代」
わたしたちは冬眠をする、最後の世代。
四季を生きる熊々の温かな物語。

芦沢 央「九月某日の誓い」
奉公先のお屋敷に不審な男が迫る。
操様の秘密を外へ知られてはならない。

夜来風音「大江戸しんぐらりてい」
徳川光圀の命を受けての和歌研究は
前代未聞の算術長屋を生み出した。

黒石迩守「くすんだ言語」
普遍的な意思伝達を可能にする中間言語。
その言葉は人と世界を侵食していく。

天沢時生「ショッピング・エクスプロージョン」
探せ。当店のすべてをそこに置いてきた。
増殖する商業施設をめぐる電脳冒険ロマン。

佐伯真洋「青い瞳がきこえるうちは」
仮想空間でのスポーツが普及した日本。
俺は創のために、幻の卓球台に立つ。

麦原遼「それはいきなり繋がった」
あの感染症が広がった翌年のこと。
僕たちの世界に“向こう側”が現れた。

坂永雄一「無脊椎動物の想像力と創造性について」
巨大な蜘蛛の巣に覆われた京都市。
それは彼女の遺した新世界。

琴柱遥「夜警」
子どもたちは今日も流れ星に祈る。
星はとても、恐ろしいものだから。

総ページ数は当初の480ページから816ページへと「爆発」しており、編集に際しては当初よりページ数が大幅に増幅されたことが示唆されている。

近年ますます注目を集めているSF小説だが、日本のSF小説界の粋を集めた800ページ越えのアンソロジー『新しい世界を生きるための14のSF』はよりSFを加速させるものになりそうだ。是非楽しみに待ちたい。SFアンソロジー『新しい世界を生きるための14のSF』は、ハヤカワ文庫JAから6月22日に発売される。詳しい情報は下記リンクも参照のこと。