国際演劇評論家協会(AICT)日本センターが主催する第23回シアターアーツ賞の結果が批評サイト「THEATRE ARTS」上で発表された。大賞は該当作なし。藤城孝輔「木偶(でく)のあらがい――舞台化された『豊饒の海』」が佳作に輝いた。7月には国際演劇評論家協会日本センター総会にて授賞式が行われる。

今回佳作に選出された作品は、昨年11~12月に東京と大阪で上演された、三島由紀夫が割腹自殺事件の直前に完成させた四部作小説を原作とする舞台『豊饒の海』(マックス・ウェブスター演出/長田育恵脚本/東出昌大、宮沢氷魚、上杉柊平ほか出演/紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA、森ノ宮ピロティホールにて上演)についての評論と見られる。春に刊行される『シアターアーツ』63号に審査員の選評とともに掲載予定であるという。

シアターアーツ賞は劇評家の新人賞として1996年に設けられた。演劇、ダンス、オペラ、ミュージカルなど、舞台芸術全般についての批評、論文を毎年募集している。文字数は16,000字以内。今回からは郵送ではなくメールのみで応募を受け付けるようになった。演劇批評を評価する公募賞としては20年以上の歴史を持つにもかかわらず、なぜか例年応募数が少ないため、狙いめの賞だと言える。次回の原稿募集は「THEATRE ARTS」サイト上で既に開始している。

佳作を受賞した藤城孝輔(ふじき・こうすけ)は沖縄県出身の映画研究者、英日翻訳者。2017年にキングズ・カレッジ・ロンドンの博士課程を修了して映画学博士号を取得。これまでに第4回日本映画学会賞、映画評論大賞2017、第15回アルク字幕翻訳コンテスト最優秀賞などを受賞している。ちなみに先日NovelJam 2018秋グランプリで藤井太洋賞に輝いた破滅派同人と同名であるが、同一人物であるかどうかの確認は取れていない。