2017年4月5日(水)、第43回川端康成文学賞の選考がおこなわれ、円城塔の「文字渦」が受賞作にきまった。受賞作の全文および選評は新潮6月号(5月6日発売)に掲載される。

1974年より創設された川端康成文学賞は、一年間に発表された短篇小説のなかで最も完成度の高い作品に贈られる文学賞だ。過去の受賞者一覧を見てもわかるとおり、実力・知名度・影響力を兼ね備えた作家の名前が多く並んでいる。円城塔も、文學界新人賞→野間文芸新人賞→芥川賞と順調に文壇のエリートコースを歩んでの川端賞受賞となった。

今回の受賞作「文字渦」は、新潮2016年5月号に掲載されていた短篇だ。中島敦の「文字禍」を彷彿とさせるタイトルだが、粘土細工によって時代を記録する男が主人公となっている。円城らしいインテリジェンス溢れる文体と固定観念を歪ませるような切り口が楽しい作品なので、気になる人はぜひ来月の新潮をチェックしよう。

贈呈式は6月23日に東京・ホテルオークラで行われる。