わずか白紙に広く浮かぬ朝絲を張り巡らしているものだから、彷徨う面影を隅に見た。霜が結んだ白線、何も保たない光が、ひがな見開きで露わになった。
降り注ぐ片片は丸く辺りに自摸るハナシ、
てばなしたのは手花使、
みぶりてぶりの 幼きレプリカ。
こだま(木霊)の表情を映す散蓮華を舌先の
水晶に灯し、極楽浄土の故 焼き付ける。
降壇で囲炉裏が泡立ち、漆喰の羽目板の上でくゆらす、私の影朧がよろめいた。逃げるものあり、透る上澄みはしぶく毬のような、消えない多色、記憶の一粒一粒、碧眼とあとに続く。
繚乱と咲き乱れ、庵の間際で、枕元には火雑の闇に囚われ、ちろちろ と様酔ってざんざめく。幼気ない若さだ。初々しい風化はくろきはね。契につまるところ、もうすぐに星屑の群れを淵に湛え、榛は岐路に立つ。
模倣される日々は単調に繰り返されるから、暗部で耐える風塵は大したことなく、遺訓を刺繍した、長い隔たりと袂を持ち、足を引っ張るだけの、古く使い終え腐敗したいばらの華の外套が、実線を射抜いたかのようだ。
ありさまがわしい祈り、懐かしきばつ跋の徴を風情という文様に感じる、その目つきのいろ、土の流れを どこまでも白魔とこじらせた睦言と喚ぶだろう。
では光束を瀬切る、ほどくらい。その癖しみ付いたほとぼりばかりをくすめる虚心の泥濘みは呼吸をも耀かせ、私は何故か泣きそうになりながら誰かを探している。
うろうろとひとところに。居ても絶っても鋳られず 寒いからだといいわけをして、のらくらと見渡しながら。薄暗くなりつつある黄昏は、長く立つ枯れ木ではないので、安いオーバーコートで十分だが。あえて赤いスカーフを合わせている。どうかどうか連理の枝になりたいものだね。
硬質な糖度は他聞を憚る、雪嶺
軌跡のこれまで。壮途につく、あまり
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