著名な児童文学者であり、また海外の児童文学の翻訳も行っていた大塚勇三が、8月18日に肺炎で死去した。97歳だった。葬儀は近親者により営まれた。

大塚勇三は1921年に旧満州の安東で生まれた。1957年から平凡社に勤め、児童文学者の瀬田貞二と出会い、海外の児童文学の翻訳業を開始した。大塚の手により再話された、モンゴルの民族楽器「馬頭琴」の由来を描くモンゴル民話「スーホの白い馬」は、教科書にも収録され有名である。この絵本により大塚は1968年に産経児童出版文化賞を受賞した。また、スウェーデンの児童文学者アストリッド・リンドグレーンの作品も「長くつ下のピッピ」シリーズを始め多く翻訳した。この他にも、西洋に限らずチベットやパプアニューギニアといった世界各地の民話や児童文学を翻訳し日本に紹介している。