日常。(6)

日常。(第6話)

mina

小説

1,188文字

「‥この年齢でちょっと恥ずかしいんだけどさ‥」

って、伏し目がちにその人は言った

 

いつも私を指名してくれるその人には“夢”

があるらしい

「誰にも‥何だか言えなくて」

その人はちょっと小太りの年配の人だった

「 ‥ 」

 

その人が持っている携帯電話は真紅のフェラーリカラーでフェラーリのステッカーが貼ってあった、だから‥

‥車好きなんだなぁって思ってた

 

「実はね、僕‥レーサーを目指しているんだよ」

 

突然の告白に私は息を飲んだ

「レーサーって片山右京とかアイルトン・セナとかそういうヤツ?」

「そうだね、そんな感じかな」

「すごいっ‥」

「そんなにすごくはないよ、どうしても諦められなくてね」

「“夢”を?」

「‥そう、“夢”を」

 

その人はおじさんなのに目だけ少年だった

 

「 ‥ 」

不思議な感覚だった

さっきまで私のその人に、おじさんに対する

イメージはいつも『時間が無い』って言いな

がらもプレイの時間は長くて‥『シャワーは

浴びてきたから』なんて言ってシャワーの時

間までもを短縮しようとするセコい親父のイ

メージだった

だけど今は‥何だかおじさんに攻められたい

気持ちになっていた

いつも通りのkissのはずが‥濡れていた

 

おじさんは私を攻め始めた

横になっている私の耳から舐め始めて、首す

じ‥鎖骨へと舌を這わせていく

「あっ‥」

胸、乳首におじさんの舌が‥

「‥ん‥」

そしておじさんの手が優しく私の胸を揉み

舐める

「 ‥ 」

ゆっくり、ゆっくり‥

手の力が弱くなったり強くなったり‥

もう私の中は湿っていて、溢れ出そうになっていた

「もう‥」

「ん?」

「‥我慢出来ないかも」

「 ‥ 」

おじさんの舌は私の下の方にゆっくりと這ってきた、そして周りをゆっくりと舐めていた

「‥意地悪してる?」

おじさんは笑いながら

「してないよ」

って言った

 

‥おじさんってこんなに舐めるのうまかったっけ‥って思わせる程、私は異常にカンジていた

 

おじさんの舌の動きに合わせて、私の腰が動

く‥

一緒にカンジている

 

「あ‥ソコ気持ちいい」

「 ‥ 」

‥でも何となく私はソコではイケなかった

「 ‥ 」

「今度は‥交代しよう」

おじさんの身体に舌を這わせている自分に

私は濡れていたように思う

「フェラチオしてくれないか?」

私はおじさんのを一生懸命舐めた

「あ‥」

「‥僕のを舐めながら感じているの?」

「‥そうかも知れない」

私がそう言った後おじさんは私の頭を上から

押さえ付けた

「ん!」

おじさんが私の口の中でイッたとき、私もイッたような気がした

 

「気持ち良かった?」

「‥もちろん」

おじさんの“夢”の話は‥きっと私を熱くさせた

帰り、おじさんとラブホテルのエレベーターに一緒に乗ったとき‥

「君に僕の“夢”の話をした事は良かったのかな?」

 

そんなおじさんの一言が笑えた

 

end

 

2014年6月12日公開

作品集『日常。』第6話 (全70話)

© 2014 mina

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