日本SF作家クラブが主催する「第44回日本SF大賞」が2月23日に発表され、長谷敏司『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』(早川書房)が受賞。功績賞が評論家の石川喬司、作家の豊田有恒、漫画家の聖悠紀、漫画家の松本零士に贈られた。

 長谷敏司は1974年生まれ。大阪府出身。2001年に『戦略拠点32098 楽園』で「第6回スニーカー大賞」金賞を受賞しデビュー。2015年に『My Humanity』で「第35回日本SF大賞」を受賞。ほか作品に『あなたのための物語』、『BEATLESS』など。

 『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』は、伝説の舞踏家である父の存在を追って、身体表現の最前線を志向するコンテンポラリーダンサーの護堂恒明が主人公。不慮の事故によって右足を失い、AI制御の義足を身につけることになった彼が、友人の谷口の主宰するダンスカンパニーに参加し人のダンスとロボットのダンスを分ける人間性の【手続き/プロトコル】を表現しようとする様子を描く。なお、今作は「第54回星雲賞(日本長編部門)」を受賞しており、二冠となった。

 2022年9月1日から2023年8月31日までの間に発表されたSF作品が選考対象となった。最終候補には、受賞作のほか、結城充考『アブソルート・コールド』(早川書房)、斜線堂有紀 『回樹』(早川書房)、高野史緒 『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』(早川書房)、久永実木彦 『わたしたちの怪獣』(東京創元社)があがっていた。

 選考委員の池澤春菜、井上雅彦、草上仁、斜線堂有紀、立原透耶による選考会が同日Zoomで行われた(自作が候補に選出された斜線堂委員は書面での参加)。

 大賞受賞作には正賞として賞状とトロフィー、副賞として賞金100万円が贈られる。また、功績賞には正賞として賞状と記念品が贈られる。贈賞式は4月27日、都内代官山の蔦屋書店で開催される「SFカーニバル」内で開催し、日本SF作家クラブ公式YouTubeでオンライン配信予定とのこと。