今年の世相を表す「今年の漢字」が12月12日、「税」と発表された。京都・清水寺で同日、清水寺の森清範貫主が、縦150センチ、横130センチの巨大な和紙の上に、広島県熊野産の特製筆で揮毫した。

 日本漢字能力検定協会によると、全国から寄せられた14万7878票のうち、「税」が5976票を集め、「今年の漢字」に選ばれた。「生活に直結する増『税』・減『税』の動向が注目された一年。国民の不安や期待が錯綜した」としている。

 2位は夏の平均気温が統計開始以来最高であったことから記録的だった猛暑にちなみ「暑」、3位には昨年の漢字に選ばれた「戦」が去年に引き続きランクイン。

 そのほか、10位以内には阪神タイガースの優勝で流行語「アレ」としても話題になった「虎」、大谷翔平選手の活躍などで話題の絶えなかった野球関連の「球」などが上位に入った。

 今年の漢字は、日本漢字能力検定協会が、漢字の素晴らしさや奥深い意義を伝えるための啓発活動の一環として1995年から始めた。毎年年末に一年の世相を表す漢字一字を全国から募集し、最も応募数の多い漢字を12月12日(いい字一字)の「漢字の日」にちなんで発表している。

 ちなみに、筆者にとって個人的な今年の漢字は「嘘」だ。旧ジャニーズ事務所の一連の騒動、長期安倍政権の裏金問題、大阪万博予算の限りない膨張、国外でもイスラエルのネタニヤフ政権によるガザ地区攻撃と米政権の欺瞞……など、これまでの建前さえも崩壊しつつある世界で、なにか箍が外れたような気配を感じる一年だった。