ポプラ社が5月12日に、学研ホールディングス(以下「学研HD」)と業務提携契約を締結した。中国や東南アジアといった地域へのグローバル展開を見据えて包括的に協業していくようだ。

 ポプラ社といえば「かいけつゾロリ」「ズッコケ三人組」シリーズなどの児童書で知られる。学研も出版を主な事業としているが、通信教育や学習塾、さらには介護や子育て支援など、多岐にわたる事業を展開している。

 両者が手を組む理由としては、ポプラ社の持つ豊富なIP(知的財産)が挙げられる。学研のライバルにはベネッセHDがいるが、ベネッセにおける「しまじろう」に匹敵するIPが学研にあるかというと、インパクトに乏しいのが実情だ。その一方、児童書を多く手がけるポプラ社としても、出生率が低下の一途を辿る日本で児童書を中心とした出版事業は先細るばかりで、所有するIPで新たな稼ぎ方を創出していかねばならない。そんな両者の思惑が一致しての業務提携ということだろうか。

 公式発表によれば、両者ともすでに中国拠点のグループ企業を持っており、中国進出を重点的に行うようだ。経済発展著しい中国では、今後の未来を担う子供への教育投資がますます盛んである。また、ベトナムやインドネシアなども経済発展を続けており、今後経済が発展すれば当然ながら教育にかけるコストは増大していくだろう。こうした成長はもはや日本市場に期待できない。これからの投資先として東南アジアは有望だ。

 出版・教育分野の業界において大手同士の業務提携。コロナ禍を経て、再び海外市場への関心も高まっている今、この動きが業界全体にどのような影響をもたらすのか、注視していきたい。