作家・僧侶の瀬戸内寂聴が、京都市内の病院で9日に心不全で死去していたことが11日分かった。葬儀はすでに近親者により行われており、後日都内で「お別れの会」を開催する予定だという。

瀬戸内寂聴(瀬戸内晴美)は1922年に徳島県徳島市で生まれる。東京女子大学在学中に結婚するが、夫の教え子と駆け落ちし、離婚後に少女小説や童話の執筆を始めた。1957年に「女子大生・曲愛玲」で新潮同人雑誌賞を受賞する。『花芯』がポルノ的であるとして周囲から「子宮作家」とレッテルを貼られるなどの逸話もあったが、次第に文壇での地位を確立し『夏の終わり』で女流文学賞を受賞した。自身の女性としての経験や、歴史上に名を残してきた女性の評伝を多くの小説に書き残した。1973年に天台宗の尼僧となり、後に岩手県二戸市の天台寺住職も務めた。

出家後も精力的に活動を続け多くの恋愛小説や伝記小説を執筆し、源氏物語の現代語訳も出版して再び源氏物語に脚光を浴びせた。近年も度々ケガや癌などで闘病生活を送ることもある中で、執筆や言論活動を続けていた。2006年には文化勲章を受章している。