破滅派同人の牧野楠葉が、2021年9月に幻冬舎より短編小説集「フェイク広告の巨匠」を発売することがわかった。

本人がTwitterで伝えた。

これまで破滅派で数多くの小説を投稿し、既に多くのファンを獲得し有名文学者からもその作風を認められつつある牧野楠葉だが、いよいよ作品を広く公表する時が来た。これまでの努力が実り、短編小説集「フェイク広告の巨匠」が、9月に幻冬舎より出版されることとなったのだ。表題作の「フェイク広告の巨匠」始め、収録作は以下の通り。

<収録作品>

・フェイク広告の巨匠(2021年発表)

・蛸やったら、(2021年発表)

・くらくらと美味しそうな黄色のイチョウ(2021年発表)

・くたびれもうけ(2018年発表)

・新代田から(2021年発表)

表題作の「フェイク広告の巨匠」では、語り部の主人公が「フェイク広告の巨匠」とまで呼ばれるようになった同僚女性との恋愛を通じ、彼女がWeb広告で「フェイク(嘘)」を巧みに利用して大金を稼ぐ一方、双極性障害や拒食症などを患いながら、フェイク広告を書きまくる自分を罰するかのように徐々に精神のバランスを崩してゆく様を感性豊かに描く。現代のネットビジネスにおける闇の部分や若者の恋愛事情が主人公と彼女(=フェイクの巨匠)との間で展開され、揺れ動き、その先に待っているものとは何か。三島由紀夫賞や野間文芸新人賞受賞作家で知られる小説家の中原昌也氏も絶賛する、時代を問う重厚な小説が今誕生した。

また、収録されている「くたびれもうけ」は、第1回「阿波しらさぎ文学賞」最終候補作品と言う実績を持っている作品である。

牧野 楠葉まきの くずはは、1993年、兵庫県生まれの小説家である。2016年立命館大学卒業。2018年ノベルジャムで「ユキとナギの冒険」にて優秀賞を受賞。2019年には米Ragazine誌に「あの娘」の英訳が掲載され、同年には短編小説「K子」がDeracine誌に英訳掲載される。2020年2月『Eckleburg No.21』に高橋文樹の「教会にて」の英訳と共に「くらくらと美味しそうな黄色いイチョウ」の英訳が掲載。同年、短編小説「彼女は二度」がThe Shanghai Literary Review誌に掲載される。英訳を手掛けたのはToshiya Kameiで、英題は「Her Again」。牧野は現在も広告代理業を経営するとともに、オンライン文芸誌「破滅派」などに作品を寄稿する傍ら、海外誌で英訳作品の発表を続けている。

牧野楠葉と「フェイク広告の巨匠」については今後とも当はめにゅーでも紹介していきたい。また、9月の発売までの間、破滅派から刊行されている牧野楠葉の作品集を読むと、より面白くなるかもしれない。今後とも牧野と破滅派同人の活躍に乞うご期待、である。