「本の雑誌」とは、当時は無名だった椎名誠、目黒考二によって1976年4月にミニコミ雑誌として創刊され、エンタメ中心の書評、活字にまつわるユニークな特集、読者の自主的参加や匿名座談会、独特の連載陣の発掘などで、人気を博す月刊誌である。

2004年には「本屋大賞」を創設、2008年には経営危機に陥るも、2015年に第63回菊池寛賞を受賞し、現在に至る。「本の雑誌厄除け展」は、創刊から42年目を迎えた今年の本厄を乗り切るためのイベントとなる。本展では、エンタメ系書評誌の先駆けである「本の雑誌」の全貌と、多彩な執筆陣、紹介されたオモシロ本の数々を展覧することで”本を読む”ことを考察し、”読書の愉しみ”をお届けするとのこと。

「ぼくらはこうやって雑誌を作ってきた」と題する椎名誠と目黒考二の対談や、「本の雑誌」編集者による公開編集会議、「本の雑誌」が出来るまでの裏話を取り上げた「本の雑誌」編集者による座談会などの興味深いイベントも予定されているので、詳しくはホームページを要チェックのこと。

出版不況の中でもとりわけ落ち込みが激しいと言われる雑誌。昨年、41年ぶりに雑誌の売上が書籍を下回ったというニュースも記憶に新しいだろう。実は僕もついに「ジャンプ」を買うのを止めた。はっきり言ってここ数年は惰性だった。買ったものの、半分くらいしか読まないという状況が続いていた。歴史や伝統が途切れる無念と同時に、肩の荷が降りた気もした。20年以上毎週欠かさずに買い続けてきたものを止めるというのは、大いなる決断を要するのである。

「ラジオスターの悲劇」よろしく、雑誌を殺しているのはWEBということになるだろう。かさばることなく、読みたいものだけいつでもPCで読めるWEBマンガの魅力は大きい。ノイズの多い雑誌において、全てのページを隈なく読むことなんてないのだから。

とはいえ、マンガ雑誌はまだマシな状況なのだろう。やはり厳しいのは、ファッション誌や旅行誌などの情報系の雑誌か。廃刊・休刊の話題は尽きない。必要な情報がリアルタイムで更新され、いつでも簡単に収集できる現在の状況においては、読みたいと思わせるコンテンツがなければ誰も見向きもしないのは当然のこと。

雑誌がこの先生きのこるにはどうすれば良いのか。あるいはその必要はないのか。同展のようなイベントはひとつの鍵を握るのではないか。