あなたが日常的にインターネットを利用しているなら、フラッシュアニメや動画などを見慣れていることでしょう。Web上における表現技法は多様化の一途をたどり、できることはどんどん増えています。素人でも、少し勉強すればそれなりのことができてしまいます。

で、皆さんの見ている『破滅派』はどうでしょうか。シンプルです。これでもかというぐらいシンプルです。

そもそも、レイアウトの世界において、テクストのみでなりたつ小説などは難しいといわれています。なぜか。それは、わかりやすい工夫というものが存在しないからです。本章においては、この工夫についての理解を助ける説明したいと思います。

Webに用紙サイズはない

公募の新人賞などに出された経験がある方はA4で執筆されるでしょうが、破滅派のようなWebサイトでは見る人によって閲覧するサイズは異なります。

  • iPhoneなどのスマートフォン
  • iPadのようなタブレット
  • ノートパソコン
  • デスクトップパソコン

閲覧するサイズはそれぞれ異なりますが、注意すべきはスマートフォンを意識するということです。現在、世界中で同時進行的に起きている出来事として、「これまでパソコンを持っていなかった人もスマートフォンでWebにつながった」ということがあります。

したがって、読者の多くはスマートフォンを利用して破滅派を読みます。このため、一文が長い文章を書く場合、画面中が文字で埋め尽くされることになります。

こうした状況において、あなたがとるべき方向性は2つあります。

  1. スマートフォンに最適化し、改行などを頻繁に入れる
  2. 開き直って長文を書く

筆者個人の意見では「開き直って書く」というものをお勧めいたします。破滅派は文芸誌を標榜していますし、早すぎる最適化はよくないと考えるからです。普通に長文を書いて、たとえいま読みづらくても、少し経ったらその読みづらさを解決する技術が生まれるかもしれないからです。

いずれにせよ、Webに用紙サイズはないということだけは念頭に入れておいてください。

 

フォント

破滅派同人でも利用している人が多いMS OfficeのWordなどには、フォントを設定する機能があります。投稿された作品にも、隷書体や丸ゴシックをはじめとして、様々なフォントが使われています。フォントに凝りたいというのもわからないではありませんが、皆さんの中で特に小説や詩を書かれる方は、そうした個性的表現はなるべく避け、文章の内容だけで勝負してください。

これにはいくつか理由があります。最優先として挙げられるのは、Webでは再現できないからです。

破滅派では現在font plusというサービスを利用して、筑紫オールド明朝という書体を利用しています。今後変わるかもしれませんが、システム上そのように設定しないと有効にはなりません。みなさんが様々なフォントを使いたいというのもわからないではないですが、その労力を割くことができないのが現状です。

次に、統一感がなくなるからという理由が挙げられます。

なるほど、編集に携わる人間はすさまじく書体にこだわります。英数字はガラモンドで、平仮名はリュウミンで、漢字はモリサワで……。それはそれで創作行為の一つですが、同人一人一人がこだわりだすとシッチャカメッチャカになってしまうので、ご遠慮願います。一つのwebサイトの中にいくつもの書体が入り混じっているのは、素人臭く見える一因となってしまいます。

フォントはエディトリアルデザインの一貫として、編集部が一括して決める方が、お互いの労力も少なくてすむと思われますので、なにとぞご了承のほどお願いします。

目休め

こういった専門用語があるのかどうか知りませんが、一枚の紙の中に余白があるのは大事です。ページあたりの文字が少ない本というものは、「スカスカ」の汚名を着させられることが多く、内容まで「スカスカ」であることが多いのですが、それにもかかわらずそういった本が世の中に溢れているのは、ただ一つの美点「読みやすさ」を備えているからです。

たとえば、携帯小説。本を読みなれている方は、『Deep Love』などをはじめて見たとき、「なんじゃこりゃ!」と思われたはずです。今日日の若者はこんなものしか読まないのかと、日本文学の行く末を憂えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかしながら、流行っているものにはそれなりに長所があります。ぜひ以下を見比べてください。

内容は無視するとして、読みやすさは明らかに「改行あり」でしょう。一つの段落でズラーッと続けると、大変読みにくくなってしまいます。これが行き過ぎると、内容がどんなに素晴らしくても「疲れる」というただそれだけの理由で、読まれなくなってしまいます。

それはガルシア=マルケスの例を見ても明らかです。『族長の秋』(集英社文庫1994)は、『百年の孤独』(新潮社1999)と並ぶ傑作であるにもかかわらず、長い間絶版でした。2007年に新潮社より復刊

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください。

実際にその作品を読み、その文学的価値を認めている筆者も、その一因が「作中に改行が一回もない」ことにあると見ています。二段組で改行が一度もないと、目まいがしますから。

こうしたことを避けるには、執筆に利用しているMicrosoft Wordなどのワープロソフトでページ設定を「web閲覧用」と同じ21字×25行にしてみるとわかりやすいです。ギッチリつまっていたら、改行の余地あり、です。

特に、携帯小説の世界では1文ごとの改行が当り前となっているため、「ちょっとスカスカすぎて江國○織みたいだな」ぐらいがちょうどいいと思われます。細かく章分けするのも一つの手です。

章分けしたあとは、ちゃんと3行アキにしましょう。

画像の複雑なレイアウトはできない

PCの発達により、画像を入れるのはとても簡単になりました。これは前述の「目休め」の効果もあり、いいんではないかという意見もありますが、掲載する場合、複雑なレイアウトにすることはできません。

Wordなどのワープロソフトには画像を添付する機能がありますが、画像を配置する場合、前述したWebには用紙サイズがないという問題とあいまって、「文書のこの位置に必ず画像が登場する」ということを保証するのは難しいです。

したがって、画像を入れる場合は「真ん中寄せ」のみと考えてください。

 

 

とりもなおさず『破滅派』はweb文芸誌を標榜しています。ノッペリとした字だけのサイトでも、ちょっとした工夫で色んな表情を持つことができます。『破滅派』は「文字を読ませること」に根っこを持っているので、その点ご賛同いただければ幸いです。

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