彼が愛した星砂の浜辺に落とし穴を仕掛けておいた。いつも寝転がるお気に入りのスポットと言っていた地点に直径一・五メートル、深さ二メートルの巨大な穴を掘り、ソテツの葉を編んで作った薄い覆いをかぶせて砂で隠した。彼が新しい女を連れてこの浜辺に戻ってくれば、二人ともアリジゴクの罠にかかった昆虫のようにひとたまりもないだろう。
「ここは子どものころから知っている俺だけの秘密の場所なんだ。今でも仕事で疲れたときや、つらいことがあったときにはここに来て夜空を眺めることにしている。それだけで元気を取り戻せるからね」
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