「セタブンマーケット」とは、世田谷文学館が主催する「書物との新たな出会いと多様な楽しみ方を発信する、本と雑貨の蚤の市」である。古書店や雑貨店、飲食店以外にも作家・アーティスト・編集者による出品コーナーも予定されており、ラインナップには角田光代や吉本ばなな、椎名誠などの作家が名を連ねている。3回目となる今回は「アウトドア」というテーマのもと、現在開催中の企画展「山へ!to the mountains」と連動したアウトドアショップの出店や、ワークショップも企画されており、なかなか豪華なイベントになりそうである。

 

にわかに読書の秋めいてきた長月にぴったりのイベントではないだろうか。読書の秋を楽しむためにはまず本を買いに行かなければならない。しかし、スタージョンの法則によると90%はゴミである。さらに、ショーペンハウエルの『読書について』によると、時の洗礼を乗り越えた作品以外は読む価値がない。だからと言って夏目漱石はパブリックドメインなので新品で買うのは気が引ける。もはや文学作品なんて新しく作る必要ないのでは。深夜に並んでまで最新刊を買う情熱を持っている人達は羨ましい限りだが、新刊の在庫の塔を見ればやはり時の洗礼の重要性を再確認する。「出版社殺し」だ。

 

大いなるマンネリズムの果てにゆっくりと自殺を試みている文学であるが、読者はいつも本当に書物との新たな出会いと多様な楽しみ方を発信して欲しいと願っているのだ。「セタブンマーケット」のようなイベントによる新しい試みは、状況を打破する一手として広がりを期待したい。読書の秋を満喫したい貴方も奮ってご参加を。