トップページが「あけましておめでとうございます」のまま、はやゴールデンウィークを迎えてしまいました。このままではよくないだろうと思い、2016年下半期の破滅派でぜひ取り組みたいと私、高橋文樹が思っていることをみなさんにシェアします。

原稿用紙1枚2円で売ってみた結果

さて、破滅派は去年電子書籍を20冊出しましたが、ざくっと要約しますと、こんな知見を得ました。

  1. 幾つかの作品は原稿用紙1枚2円で計算すると高価になりすぎてしまった(方舟謝肉祭など)
  2. 無料キャンペーンをすると、数千DLは行くが、意味がなかった
  3. 複数の作品を持つ著者の作品のうち、一番読まれるのは結局一番安いやつである

もちろん、宣伝の工夫などは色々あり、人事を尽くして天命を待つほどやり尽くしてはいないのが実情です。しかしながら、「500枚の長編を書いて1,000円で売る」というのは若干無理があるなと感じているのも正直なところです。

ぶっちゃけると、安くないと無名のものは買わないんだなあというのが最大の発見ですね。

じゃあ安売りするかというと、500枚の長編を99円で売っていった先にはダンピング地獄しか待っていなさそうです。

ここで、先人の知恵を参考にしたいと思います。

『ウール』の勝ちパターン

みなさんは『ウール』というSF小説をご存知でしょうか。

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このSF作品はかなりの大部なのですが、はじめはAmazon Kindleの電子書籍として99セントで売られていたようです。作品が完結すると、5.99ドルぐらいでまとめて売られました。その後、SFファンの間で火が着き、結果的に出版社からオファーが。著者は「電子書籍の版権以外の出版許諾」という強気の契約を勝ち取り、見事ベストセラーとなりました。詳細は大森望氏による下巻の解説に詳しいです。

「Amazonの電子書籍として出して、口コミが広がり大ベストセラーに」という破滅派が目指す売れ方のロールモデルといってよいでしょう。

99セントとは、日本だと99円(これはKindle Direct Publishingで設定できる最低価格です)になります。では、それぐらいの値段の小説としてふさわしいのは、どれぐらいでしょうか。私はこれを仮で「50枚から100枚程度」、つまり20,000字〜40,000字ぐらいだと考えています。

そしてさらに、『ウール』のような勝ちパターンにハマるためには、次のような条件を備えている必要があります。

  • 続き物ではない99円の電子書籍を販売し、作家としての評判を高めていく
  • 世界観やキャラクターを共有する連作を書き、「シリーズ物」として評判を高めていく

私もこの仮説が正しいのではないかということを自ら実践するために、現在『はつこいオブ・ザ・デッド』という作品を連載中です。この作品は四部作構成で、その第一部を100枚前後で完結させようと考えています。ヒットしなければ二部ぐらいまでしか書きません。

ちなみに収益についてですが、Amazonですと299円を下回る作品については35%となっています。したがって、99円で得る場合はAmazonでの独占販売にこだわる必要はまったくなく、他のストアでも販売可能です。これについてはおいおい告知いたします。

それでは、上記の「99円の小説を売る」についてご興味ある方はぜひご賛同ください。やってみたいけれどどうしていいかわからない、不明な点があるけれど踏み出せないという方は、この記事にコメントをいただいてもよいですし、お問い合わせから個別にご連絡いただいても構いません。

それでは、みなさんの参加をお待ちしております!