浅草の図書館

大川縁

330文字

かつて台東区の図書館で働いていた頃、祭りの日の活気に圧倒されたものでした。朝からビール飲んで来る人や、館内で突然取っ組み合いが始まったりと、退屈しない楽しい町です。

ずいぶん前になるが、かつて私は浅草寺の近くにある図書館で働いていた。

配属先で板橋区か台東区かを選択できたため、当時家が近かった台東区を選んだ。

浅草といえば三社祭だが、祭り当日になると図書館周辺には

祭衣装に身を包んだ大人子供が大勢溢れ、

道端で準備しながら昼休みをとり賑やかになる。

図書館にも手洗い利用で次々と祭人がやってくるので、

雰囲気だけでも味わうことができた。

祭本番になると混雑は極まり、路上は凄まじい熱気でごった返す。

バスに乗ろうものなら、もしかすると歩いたほうが速いかもしれないほど

亀の歩みのようになる。

 

薄暗くなった暮時に、同僚と駅まで歩きながら

祭の名残を感じていると、

実はこの町にいるだけで、私も祭に参加したかのような

心持ちになるのだった。

2016年10月28日公開

© 2016 大川縁

読み終えたらレビューしてください

この作品のタグ

著者

この作者の他の作品

この作者の人気作

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


5.0 (1件の評価)

破滅チャートとは

"浅草の図書館"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る