あじゃ、てい(抄)

ぱるお

1,451文字

ドエライコトヤナ ドエラコトヤ……奇妙な囃子が耳に残る、拒まれた者の叫びを綴った自由詩。

あじゃ、てい

 

額ずく俺に血塊ゆるくこぼれ獄の音律に腹を焚かれどら犬の叫喚はアガヌの神に仰臥して

 

ハマッサン

ハマッサンよ

あがれの狂いよ

 

 

 

笑って、暮らそう。

 

呪詛でない。ひとりごつ俺味蕾にはりつく残照こそげおとしているでないか。断罪。うんどうがいつのまにかせびるように。過去の熱の残滓に噎せ返りながら終わるものとしてのにおいに懲罰として唾液くちゅくちゅするうんどう。なめとったのこりかすは御霊(みたま)をあらうささげもの。

 

「つみ、あがなうみちは、ありません。さいわいに、いたるみちは、ありません」

 

夕景うつして赤茶けた伽藍。瞑目してききおればわらぐらわ。遠く俺に和する声が響いて。きんきらきんの一群が通り過ぎる。音もなく通り過ぎる。どえらい囃子しずかにかすかに。

ドエライコトヤナ ドエライコトヤ

タバカロウタラ ボウケモン

カラメテヤイテ ムガレテナ

ドエライコトヤナ ドエライコトヤ

ソンダラ アソウダラ

トウタラ アカンタラ

タマルカテエ タマルカテエ

ドエライコトヤナ ドエライコトヤ

 

お前は、くるな

 

一九二五年二月八日付 モリギ日報朝刊

八日早朝。多嶋郡杜木村ニヲキテ集団自決アリ。村民サウゼイ五十有余名、村東ニ位置シタル穴倉ニテ果ツ。爆死シタルモヨウ。煽動者ノ有無是ツマビラカナラズ。

 

俺は盲か。ハメルンの笛についていきそびれた生き証人。正直になろう。いきそびれたのでない。拒まれた。

黄金の車軸、無辺の天蓋。神輿を捧げ持つ御者の、あの眼差し。

杜木では確かに皆が微笑んでいた。翳がなかった。愛に落ち着いた人達がどうしてあそこへ行ったか。どうして俺はあそこへ行かなかったか。

 

「握手、握手握手握手!」

「あは、は」

呪いたおすこと。今際の言は「畜生」で終わること。

公園で鳩にたかられる今橋の爺が叫ぶ。

「ひと舐り、させてくれようおまさんがた。俺から毟りとろうとするなら離れなさんな。俺のほかに求めなさんな。こすいよお。ずるいよお。距離を、保つな。おにくたべたいんだよね。おいしいよ。ほんとにおいしいんだよ。おにく。今ちゃんのおにく。今ちゃんのおにくたべたいのなら、近く。今ちゃんのお肉、今日は特売日。もっと近く! もっと近く!」哀訴、など。

 

アパアトの塀のわき。一列にならんだプランタア。ゆるゆるとながれるとき卵のように紫色の花。これはもう、要らない。

 

ひととして、よっつ

 

じゃふじゃふとひとすりおろしたき夕間暮れ

 

ひと焚くことのあつさにかいなまかんとす

 

まるとんぼりにひと世のごくをせびるなり

 

ひととばすつばきあらたしき春陽舎

 

キ印か。ごっそりもっていったカタルシス。その分だけ、かえしてください。

 

よろしき日には種播く人となれ。呼んだかい。鍬もて惨劇。ひとひの安楽。お金が、ほしい。よろしく。処世。いい奴だ。罰。自分だけは。代用。今度ばかりは僕も本当のようです。上へ上へ。つかいものにならない。なにもかもを埒外において。相容れない。こまやかに傷つける。抱擁。

 

産声。「たれもかれもをあいすへし」 太初の怒り信じよ。

テテテンカラ。テテテテンカラ。金色(こんじき)の銅鑼。つかまえよ。

2007年3月1日公開

© 2007 ぱるお

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ひきこもり 成長 熱い

"あじゃ、てい(抄)"へのコメント 1

  • ゲスト | 2008-10-07 02:04

    ひさびさに読み返したけど、これホント天才的だよね。人は一生に何度か、こういう光芒をしめすときがあるね。

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