スプーン

浅間のん子

小説

196文字

カップルの生活の様子を切り取ってみました

僕は彼女の黒髪に鼻を埋める。僕の左腕は彼女の首の下。右手は彼女の右手の上。彼女の熱った背中。明日の朝は何でもいいと彼女は云う。冷蔵庫に玉子とベーコンはあっただろうか。冷蔵庫を見てくると僕は小さく云った。でも彼女は何も言わない。僕の右手を握ったまま。僕は彼女の顔を覗き込む。僕はそっと彼女の指を解いて、ベッドライトを消して、そして暗がりの中で彼女の右手を探した。僕らは朝まで鼻息の会話を楽しむ。

2023年5月11日公開

© 2023 浅間のん子

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