「魔法の文学館」(江戸川区角野栄子児童文学館)が11月3日に、東京都江戸川区の「なぎさ公園」内に開館する。

 『魔女の宅急便』の作者として知られる区ゆかりの児童文学作家・角野栄子の作品の世界観をイメージした文学館。建物は隈研吾が設計。中には、アートディレクターのくぼしまりおがデザイン監修した「いちご色」の世界が広がり、角野が自ら選んだ児童書約1万冊が揃えられる。

 角野は1935年東京生まれ。3歳から23歳まで江戸川区北小岩で過ごす。出版社勤務を経て24歳からブラジルに2年間滞在。その体験を元に書いた『ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて』で1970年に作家デビュー。代表作『魔女の宅急便』は 1989年にスタジオジブリ作品としてアニメーション映画化された。2018年児童文学の「小さなノーベル賞」と言われる「国際アンデルセン賞作家賞」を受賞。翌年、江戸川区区民栄誉賞を受賞している。

 9月13日には江戸川区(斉藤猛区長)が、「魔法の文学館」の館長に角野が就任すると発表した。また、10月3日から日時指定の事前予約を受け付ける。

 館長就任にあたり、角野は「読み出したらとまらない、わくわくするような本がいっぱい並んでいます。自由に選んで、本と友だちになってください。本には発見があります。冒険があります。想像する喜びがあります。また本はその人の一生を豊かにしてくれるでしょう」と呼びかけている。

 幼少期から本の世界に触れていると文学へのアクセスもハードルが下がるだろう。ますます少子高齢化が進む中、ひとつの希望として注目したい。