文藝春秋は3月3日に、創刊以来92年の歴史で初めての小説誌『オール讀物』の3・4月合併号電子雑誌版を発売した。

『オール讀物』は1931年に定期刊行化された小説誌。「鬼平犯科帳」(池波正太郎)、「新・御宿かわせみ」(平岩弓枝)、「陰陽師」(夢枕獏)、「探偵ガリレオ」(東野圭吾)、「池袋ウエストゲートパーク」(石田衣良)など、数々の人気作品掲載の舞台となってきた。また、年に2度、発表される直木三十五賞の発表媒体でもある。

今回、電子雑誌化する3・4月合併号は、小川哲『地図と拳』(集英社)と千早茜『しろがねの葉』が受賞した第168回直木賞の発表号。受賞作の冒頭ロング掲載をはじめ、選考委員の選評、受賞者の自伝エッセイ、記念対談などを掲載する、〝直木賞尽くし〟の豪華な一冊。

なお、今号の電子雑誌化は試験的に行うものであり、『オール讀物』電子雑誌版の今後の定期配信を前提としたものではないという。

『オール讀物』編集長・川田未穂は以下のようにコメント。

――選考委員から熱い支持を集めて新直木賞作家となった小川哲さん、千早茜さんの魅力がたっぷり詰まった一冊を、電子雑誌という形でも多くの方にお届けできることを嬉しく思います。日本一のエンタメ小説の総合誌の名にふさわしく、豪華対談では浅田次郎さん、五木寛之さん、北方謙三さん、林真理子さんら歴代直木賞選考委員の先生方に登場いただき、読切小説も傑作揃いです。充実のコラムやエッセイ、紀行、連載小説まで存分に楽しめることは間違いなく、皆さま〈雑誌〉文化の醍醐味を存分に味わってください。――

主要販売電子書店:Kindleストア、Apple Books、楽天Kobo、ReaderStore、紀伊國屋書店Kinoppy、BookLive!、hontoほか、電子書籍を販売している主要書店で配信販売中。価格は1100円(税込)。

今後、この試みは続くのか、そして他社の文芸誌がこの電子書籍化に追随するのか、注目していきたい。