日本経済新聞社が主催する日経「星新一賞」第10回受賞作が決定した。一般部門グランプリは、関元聡(せきもと・さとし)氏「楕円軌道の精霊たち」で昨年に続き2年連続のグランプリ受賞となった。

日経「星新一賞」は形式やジャンルにとらわれない理系的な発想力、想像力を問う新しい文学賞として2013年に創設。理系的発想力を問う文学賞で、第10回は2022年6月1日から9月30日まで応募を受け付け、応募作品は一般部門編、ジュニア部門編で、総数は2767編だった。今回より学生部門は一般部門に統合。AIによる創作と認められた作品は、前回の114から32編となった。

第10回の最終審査員は野口聡一氏(東京大学特任教授・宇宙飛行士)、合原一幸氏(東京大学特別教授・名誉教授)、池澤春菜氏(声優・文筆家)、美村里江氏(俳優・エッセイスト)、白井弓子氏(漫画家)、滝順一(日本経済新聞社編集委員)の6人。

「楕円軌道の精霊たち」は、軌道エレベーターの発着基地として買収された温暖化により水没の運命にある島を舞台に、エレベーターを訪れる主人公カジがVRで再現される活気のあった頃の村祭りを目撃する。

ジュニア部門グランプリは、本宮笙太(もとみや・しょうた)氏「電動と手動」。今から100年後の未来、技術の進歩によりなんでも自動になった世の中を主人公・美枝を通じて描く。

このほか、【一般部門優秀賞(東京エレクトロン賞)】として井本尚登(いもと・なおと)氏「エターナル・エンプレス」、【一般部門優秀賞(アマダ賞)】に亀山建太郎(かめやま・けんたろう)氏「五億年越しのパートナーシップ」、【一般部門優秀賞(旭化成ホームズ賞)】に青庭遠(あおにわ・はるか)氏「春発つ日」、【一般部門優秀賞(図書カード賞)】に木口まこと(きくち・まこと)氏「おじいちゃんの樹」がそれぞれ選ばれた。

また、【ジュニア部門準グランプリ】として、中川泰明(なかがわ・やすあき)氏「future candy communication」【ジュニア部門優秀賞】小林航介(こばやし・こうすけ)氏「ゆきとどいた人生」、【ジュニア部門優秀賞】宮下ぴかり(みやした・ぴかり)氏「エピローグ」、【ジュニア部門優秀賞】山崎真晴(やまざき・まはる)氏「小腹ガム」。

一般部門グランプリは賞金100万円。受賞作は3月上旬以降、電子版書籍サイト「honto」で配信予定(無料。利用登録が必要)。